アメリカのイスラエル支持については、「ユダヤ系アメリカ人の影響力」「キリスト教原理主義者の支持」「ユダヤロビーの力」などが挙げられる。だが最大の理由は、イスラエルが中東で唯一、選挙によって政権交代が起こる国であるという制度的な特徴にある。私は40年近くにわたり、米国の識者や政治家と意見を交わしてきたことの結果、学んだことだ。

今回のG7による共同声明でも、同じスタンスを読み取ることができる。

イスラエルではアラブ系住民やイスラム教徒にも投票権があり、それ自体がイランのような神権体制とは根本的に異なる。イスラエルには多くの問題があるとはいえ、近代国家としての「政権交代」という原則を維持している。

トランプ政権の登場によって、アメリカ自身の民主主義の矛盾がより鮮明になった。とはいえ、アメリカがイスラエルを「よりまし(ベター)」と評価する理由の一つは、まさにこの制度的合理性にある。宗教的正統性よりも、機能する制度こそがアメリカ外交の基準なのである。

現時点で最も現実的な展開は、この危機的なシナリオが回避され、イランが譲歩することである。イランの最高指導者は、降伏などしないと言明した。だが同時にロシア辺りに亡命する可能性も出ている。当然、ホメネイ師亡き後がパーレビ元国王の孫か、逆により強硬な反イスラエル・反米国強硬派になる可能性もある。そこは全く予測できない。

米・イスラエル両国による圧力と軍事的示威が、イランの事実上のかなりの譲歩――いわば「無条件降伏」に近い形へと導く。私はこの可能性について、アメリカ政府内の複数の関係者から直接話を聞いている。これは軍事行動そのものではなく、軍事力の存在が政治的成果を引き出すという典型的な「力の外交」なのである。