山本大平氏の経歴とAIについての実績

 山本氏の経歴とAIについての実績について聞いた。

「まず自己紹介を兼ねて経歴や知っていることをお話しします。私は新卒でトヨタ自動車にエンジニアとして入社し、新型車の開発に長く携わりました。内装モジュールの担当で、レクサスやカローラ、iQなどの内装品質の向上に取り組む技術者でした。その中でトヨタでは特にデータ分析による原因特定能力を鍛え、全トヨタグループで開催されるデータサイエンスの大会で優勝した経験もあります。その後、縁あってTBSテレビに転職し、ドラマやバラエティ番組などのマーケティングや制作に携わりました。他局の編成パターン、番組制作の癖や傾向をデータ分析して「視聴率アップ」に貢献することが私の役目でした。具体的には『日曜劇場』や『SASUKE』では、プロモーションを最適化して番組のいわゆる『入り視聴率(放送開始直後10分の視聴率)』を上げるためにデータ分析や戦略を練ったり、「視聴の離脱を減らす」ために『日本レコード大賞』では歌手の歌う順番を最適化したり、といったことをしていました。あくまでデータマーケティングの側面から視聴率を上げることをプロデューサーから期待されていました。さらにその後、アクセンチュアで経営コンサルタントとしての経験を積み、2018年に独立して自社のF6 Design株式会社を創業しました。現在は社長業を行いながら自身も戦略コンサルタント兼データサイエンティストとして、各種企業課題の解決に取り組んでいます。

 一方で、弊社F6 Designでは、統計分析やAIといったデータサイエンスの力をビジネスに応用し、マーケティングやブランディング、業務改革のコンサルティングを行っています。例えばAIのビジネスシーンへの導入支援は弊社の得意分野の一つで、最新の生成AI技術の活用法を企業に伝授し業務効率化や新規事業創出を支援しています。生成AIが登場するまでは、自社でAIの根幹となるモデルを作成し、各ベンダーと組んでオリジナルのAIを開発するといったことをしていましたが、生成AIの登場で風向きは変わったことを認識し、いま弊社では、ビッグテック企業のAIを使いこなす方向へとシフトしています。つまり、データサイエンティストもAIに置き換わる時代になったと言っています。たとえば生成AIの活用には『プロンプト(指示)』が必要でそのプロンプトの作り方を商売にしているコンサル会社もある様ですが、弊社では『その必要はない』と提言しています。

 なぜなら、今回のテーマであるResearcherやAnalystのように、AI側が人間の方へ優しく歩み寄ってくれるスピード感が加速しているからです。つまり、人間が言葉足らずで適切な指示ができていなくても、そのうち指示側の人間の“指示癖”ですらAIは学習し、その上で分析や提案をしてくれると推察しています。その点がAIとの関わり方について弊社が他のAI導入コンサル会社と大きく違うスタンスになりますでしょうか。つまり、弊社の強みは『AIの根本(原理原則)』をモデル作成レベルで知っていることではないかと。弊社にはそのベースあるからこそ『この先、人間がAIとどの様に関わるようになっていくのか』を少しは先読みできているのではなかろうかと、勝手に思っている次第です。AIのモデル作成では、数多くの失敗もしてきましたので」(笑)」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)