コニカミノルタが培ってきた材料開発技術の蓄積
このような製品を開発するに至った背景について、コニカミノルタは次のように説明する。
「コニカミノルタでは、有機EL照明で培ったバリアフィルム技術がペロブスカイト太陽電池に適用できるのではないかと考え、技術検証を開始しました」
具体的にどのような特徴を持つ製品なのか。
「ペロブスカイト太陽電池の弱点は水分であり、発電セルが水分を含むと分解し、発電性能が下がってしまいます。当社のバリアフィルムは水分を通さない性能がトップクラスであり、有機EL照明の際に屋外に設置した実践により実績があります。また、フィルムの生産技術もあるため、コスト競争力も期待できます」(同)
どのような技術によって、製品化が実現されたのか。
「コニカミノルタが培ってきた材料開発技術の蓄積により、前述のような耐水性のあるフィルム開発ができると考えています。まだ製品化しておらず、2025年度中に技術検証を終える予定です。早ければ26年度にペロブスカイト太陽電池用バリアフィルムの(量産品ではなく)サンプル出荷を目指します」(同)
同製品の導入により、どのような効果が期待されるのか。
「現在のペロブスカイト太陽電池の寿命は10年といわれており、一般的には既存の太陽電池の寿命が20年であるため、既存の太陽電池と同じ寿命(2倍)を目指しています。ペロブスカイト太陽電池の長寿命化、ひいてはペロブスカイト太陽電池の普及を促進し、再生エネルギー由来の電力比率を上げ、環境負荷軽減に貢献したいと考えています。また、フィルム生産のコスト安定化により、さらなる普及の促進につなげたいです」(同)
大手電力事業者関係者はいう。
「再生可能エネルギーの意義はもちろん脱炭素や環境負荷低減など『クリーンなエネルギー』という点にあるが、事業者や個人が太陽光発電を導入するかどうかを検討する際、現実的にはコスト削減効果がどれくらい見込めるのかが重要視される。なので電池の寿命が大幅に延びれば、長期的にかかるトータルコストが低下してくるので、より導入されやすくなる。よって、このようなバリアフィルムの登場はペロブスカイト太陽電池の普及を促すと期待できる」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)