改めて、日本の医療費上昇がいかに深刻化について述べておきたいと思います。
最新の政府データによると、日本の総医療費はついに47兆円を突破しました。
これは国民一人あたり約37万円に相当し、GDP比でも10%に迫る水準。現役世代にとって、これはすでに“重すぎる出血”です。
なぜなら、現役世代は「健康保険料(社会保険料)」として医療費膨張のツケを直接背負わされているからです。
健康保険料率は、制度発足当初の1947年は3%程度だったものが、2000年には約8%。そして現在は約10%にまで上昇しました。 ※都道府県により変動あり
つまり、事業主負担分も含めて給料の1割が健康保険料だけで天引きされているという現実。
しかもその保険料の多くは、自分や家族の医療費ではなく、高齢者医療の支援金として拠出されています。実に協会けんぽの支出の4割以上が、高齢者医療への支援金です。
これは若い世代が、自分が使う医療だけではなく、“上の世代の医療費の肩代わり”をさせられている構図にほかなりません。
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しかもこの出血、放っておけば止まるどころか、高齢化に伴い2040年には約80兆円にまで急速に膨張すると予測されています。わずか15年ほどで1.7倍。
しかもそのうちの約4割=30兆円以上が税金(公費)でまかなわれるのです。
これはどういうことか。
単純化して言えば、医療費がこれ以上膨らめば消費税を何%上げても追いつかない、という事態が目の前に迫っています。
医療を守るどころか、あらゆる世代の暮らしが脅かされるのです。
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「医療にカネをかけるのは当然だ」 「命は地球より重い」 「医療に生産性という概念を持ち込むのはおかしい」
といった言葉があるように、日本では医療制度に対する強い信頼と、ある種の神格化があります。しかし、限界はすでに超えています。
業界団体を説得し、また高齢者をはじめとする国民にも新たな負担や節約を率直にお願いしながら、医療の支出削減・保険サービスの縮小適正化を進めていかねばなりません。