また、IAEAの査察官は、既知の核施設から離れた施設で、ウランの痕跡やその他の証拠を発見した。それに対し、イランはこれまで信頼できる説明をしていない。秘密核活動は、長年調査が続けられてきた。機密報告書によると、これらの活動に使用された物質は国連に報告されていないという。
ところで、イスラエルのイラン核関連施設と核兵器の運用手段となる弾道ミサイルの製造拠点への空爆活動をいつ停止し、イランの核開発能力が無力化したと宣言し「ライジング・ライオン作戦」を終了するだろうか。トランプ米大統領はイランとの核協議の再開に熱心であり、イランもここにきて米国に協議を再開したい意向を伝達しているといわれる。実現すれば、イラン側は濃縮関連活動を断念する代わり、米国に制裁解除を要求するディ―ルとなる。
しかし、まだ深刻な問題がある。イランが既に製造した約409㌔の高濃縮ウランを秘密の場所に保管していた場合だ。専門家たちは、イスラエルの大規模攻撃前から、イランが高濃縮ウランを秘密の場所に移送・保管している可能性があると警告していた。IAEA元査察局長のハイノーネン氏は16日、BBCとのインタビューで、「重要な疑問が一つ未解決のままだ。イランが400キログラムを超える高濃縮ウランをどこかに貯蔵し、ひそかに核開発を継続する場合だ」と述べている。なぜならば、イランの製造済みの約400キログラムの高濃縮ウランは、容易に隠蔽できるからだ。ちなみに、兵器級のためには90%以上の濃縮ウランが必要だが、「60%から90%までは短期間で達成できる」という。
もちろん、イスラエル側はイランの409㌔の高濃縮ウランの行方が判明するまではイラン攻撃を続けるだろう。米国がイランと核協議を再開した時、米国は真っ先に409㌔の貯蔵先をイラン側に問い詰めるだろう。なお、イランの同盟国ロシアのぺスコフ大統領報道官は「イラン産の高濃縮ウランを貯蔵し、民生用原子炉の燃料に変換するという案が考えられる」と述べ、イスラエル・イランの核問題の仲介に意欲を示している。