使用された色数は5万7314通りのユニークな色。
これだけ複雑な配色を再現しながら、作業時間は従来手法の66分の1で済んだというのですから驚きです。
このマスクは単なる「お化粧」ではなく、作品の色彩や筆致を忠実に再現するために、AIが細部まで計算して作成されたものです。
さらに、このプロセスでは修復の全記録がデジタルデータとして残るため、後世の絵画修復士がその意図や内容を正確に把握できます。
今後は、他の作品への適用やマスクの大量生産、そしてAIアルゴリズムのさらなる改良など、幅広い展開が期待されます。
カチキン氏が開発した手法を用いるなら、修復に数年、数カ月かかる絵画であっても、わずか数時間で完成させられるでしょう。
絵画修復士の負担軽減と効率向上にとどまらず、これまで倉庫で眠っていた膨大な作品たちが、再び日の目を浴びる機会も増えるはずです。
「時間がかかるから」という理由で諦められていた多くの名作が、新しいAI技術によって次々に甦る可能性があるのです。
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参考文献
Years of painting restoration work done in just hours by new technique
https://newatlas.com/good-thinking/ai-classic-painting-restoration/
Have a damaged painting? Restore it in just hours with an AI-generated “mask”
https://news.mit.edu/2025/restoring-damaged-paintings-using-ai-generated-mask-0611
元論文
Physical restoration of a painting with a digitally constructed mask
https://doi.org/10.1038/s41586-025-09045-4