目標を21万BTCへ拡大した理由
当初策定された「21ミリオン計画」では2026年末までに21,000BTCの保有がゴールでした。
しかし、計画開始からわずか18か月で8,888BTCを積み増せたことで“このペースなら10倍スケールも視野に入る”と経営陣が判断し、新たに「555ミリオン計画」を上程しました。
同社は「総供給量の1%を押さえ、BTC需給バランスがタイト化した未来に備える」と説明し、円安やマイナス金利といったマクロ経済リスクへの防波堤を築く狙いを明確にしています。
同時に、企業価値の算定方法もBTC基準へシフトしつつあるのです。
従来は「株主資本利益率(ROE)」や「一株当たり利益(EPS)」が主要指標でしたが、同社は「一株当たりBTC保有量(BTCPA)」を新たに提示し、市場との対話を図っています。
BTCPAの上昇がそのまま株価魅力度に直結する構造を示すことで、株主に“長期的にBTCを蓄える喜び”を共有させる仕組みを醸成しています。
2025年内にBTCPAは現在の0.00003BTCから0.0001BTCまで高まる見通しであり、株価とBTC価格の正相関がますます強固になるとの分析も。
資金調達スキームと潜在的リスク
今回発行される「ムービングストライク型ワラント」は、行使価格が株価の一定割合で自動調整されるため、極端なディスカウント発行を避けつつ資金調達が可能です。
総数555百万株という前例のない規模は東京証券取引所史上最大で、最大調達額は約7,700億円とアジア圏ビットコイン関連ファイナンスでも群を抜きます。
株主の希薄化リスク軽減のため、行使価格には最大25%のプレミアムを設け、段階的な行使期間(2025年6月24日~2027年6月23日)を設定していますが、それでも、BTC価格が短期的に急落した場合には、計画遂行ペースが遅れることがあるでしょう。
また、金融庁が提案中の「暗号資産会計基準」が施行されると、評価損益の計上タイミングが短期化し、決算のブレ幅が拡大する可能性もあります。
同社は「BTC価格が半値になっても追加担保なしで運営できる潤沢な現預金を確保している」と強調しつつ、場合によっては社債発行による二段階調達も検討するとの声。
さらに、将来的に日本でBTC現物ETFが承認された場合には「当社株とETFとの裁定取引」が活発化し、株価とBTC価格の相関が薄まる懸念も生じます。
こうした複合リスクに備え、複数通貨建てヘッジやOTCデスク活用など、多層的なリスクマネジメントを敷く計画です。