尾身茂氏の発言を機に、コロナ感染中のワクチンや行動制限についての異常な言論統制があらためて問題になっている。その被害者であるアゴラとしても、当時の言論を検証しておきたい。

「コロナで42万人死ぬ」という西浦氏の偽予言

2020年3月にコロナが欧州で話題になりはじめたとき、日本でも小池百合子氏などが「大流行が起こる」と騒ぎ始めた。このとき「コロナで60日間に85万人が重症になって42万人死ぬ」という予想を厚労省で発表し、緊急事態宣言の発令を求めたのが西浦博氏だった。私は当時の感染状況から考えて、そんなことはありえないと批判した。

実際には、60日間のコロナ死者は約900人。42万人の1/450だ。これを「何もしなかったら42万人死んだはずだ」と弁護する医クラもいたが、どうやったら死者をそんなに短期間で劇的に減らせるのか。

「何もしなかったら」という条件は、具体的に何をするのか言わない限り意味がない。ロックダウンで移動量を「8割削減」した欧米では日本の数十倍の死者が出たのに、半分も減らなかった日本では超過死亡マイナスの過少死亡だった(図1)。行動制限は有害無益だったのだ。

G7諸国の超過死亡(Health Foundation)

図1

初期に日本の被害が少なかった原因は、東アジアの人々にコロナ系のウイルスに対する細胞性免疫があったからだと思われる。これはアゴラでもBCGの効果として紹介したが、これもグーグルが検閲で表示しなかった。

尾身氏を評価した動画をYouTubeは削除した

コロナ分科会長の尾身茂氏は慎重派だった。2022年8月には「コロナの全数把握をやめるべきだ」と有志で提言する異例の手段で、厚労省の過剰検査に反対した。私はこれを動画で評価したが、この動画はYouTubeから削除されたのでVimeoで掲載した。