実際、このオフィスを使う理由は人それぞれで、文字通り「働くふりをする」だけでなく、「フリーランスが作業場所を得るために活用している」といった声もあります。

それでも、最大のポイントはやはり“心理的安心感”でしょう。

無職であることが恥とされる社会において、日中に行く場所があること自体が救いになるのです。

こうした状況は、中国に限らず、同様のプレッシャーを抱える他国でも広がる可能性があります。

日本でも「働くこと=社会的存在価値」と捉える人は少なくありません。

そのような価値観の国では、この“なんちゃって出勤”ビジネスが輸入される日も近いかもしれません。

人間が「他者の目」を意識する生き物である以上、「働いているフリ」ができる環境がどこかには必要なのかもしれません。

あなたは、もし無職になったら、このサービスを利用してみたいですか?

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参考文献

Going to an office and pretending to work: A business that’s booming in China
https://english.elpais.com/international/2025-05-31/going-to-an-office-and-pretending-to-work-a-business-thats-booming-in-china.html

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部