実際の上司や仕事は存在しませんが、その代わり、架空の業務が割り当てられるケースもあります。
追加料金を支払えば、“管理職”を装うなどの演出も得られます。
こうしたサービスが急成長した背景には、中国の高い若年失業率があります。
中国国家統計局の報告によると、2025年第1四半期の都市部の失業率は5.3%ですが、25歳未満の非学生層では16.5%、25〜29歳でも7.2%に達しています。
特に競争が激化する都市部では、就職活動に失敗したことを“知られる”ことが大きなストレスとなるのです。
SNSでは、この“偽装就業”サービスを宣伝する投稿が急増し、何百万回も閲覧される人気トピックとなっています。
一方で、ネットユーザーの間では「自分をごまかしているだけだ」という批判の声もあり、社会的な議論も活発化しています。
では、この中国のなんちゃって出勤サービスの実態はどのようなものでしょうか。
「なんちゃって出勤」ビジネスの実態とは?
実際にある“偽装就業”オフィスを訪れた人によると、その受付にはオフィスを所有する「法律事務所」の看板が掲げられていました。
中には会議室が複数あり、36人の従業員を収容できるラウンジもあります。
水曜日の午前中、このオフィスでは、静かな空間と数人の若者がパソコンに向かう様子が見られました。
ある者は真剣な表情で作業をし、またある者はソファでスマホをいじっています。

サービス提供者の一人は「流行っているから真似した」と語っています。
このオフィスはもともと看板どおり法律事務所でしたが、弁護士たちはオフィスを滅多に使用しないため貸し出すことにしたのです。
この場所はコワーキングスペースとして運営されており、「なんちゃって出勤サービス」として広告を出して人々を引き付けています。