こうした単細胞生物たちは、海に食物連鎖のスタート地点にいるもので、他の大きな生物たちの大切な食糧資源となっています。

その中で、巨大ウイルスが感染している事実は、単細胞生物の繁殖に何らかの悪影響を与え、食物連鎖の流れに異常を起こすきっかけになりかねない、とチームは懸念しています。

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新種の巨大ウイルスが発見された場所/ Credit: University of Miami – Scientists discover 230 new giant viruses that shape ocean life and health(2025)

さらにチームが巨大ウイルスのゲノム解析を行ったところ、うち9種類が光合成に必要なタンパク質を持っていることが判明しました。

これは巨大ウイルスが植物や藻類に感染し、その光合成機能を「ハッキング」して、自分に有利な環境を作り出している可能性を示唆するものです。

たとえば、光合成で得られるエネルギーを巨大ウイルス自身の複製に使ったり、感染した細胞の生存時間を延ばしたりすることができるのかもしれません。

また別の発見として、巨大ウイルスの中には、窒素や硫黄といった栄養のやり取りに関わる遺伝子も含まれていました。

これは海の栄養バランスや炭素循環にも影響を与えていることを示しています。

つまり、新たに見つかった巨大ウイルスたちは「ただの病原体」ではなく、海洋生態系に重大な影響を与えているかもしれないのです。

さらにこうした巨大ウイルスの影響力は海だけでなく、私たち人間にまで届く可能性もあります。

たとえば、藻類の異常繁殖や植物プランクトンの大量死を招くことで、沿岸部の酸素が欠乏し、漁業などに悪影響を与える危険性があるのです。

チームは今後、これらの巨大ウイルスの働きをより正確に突き止めることで、生態系にどんな変化を加えているのかを明らかにしたいと話しています。

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