地球の海には、目には見えないけれど、私たちの生活や地球環境に大きな影響を与えている存在がいます。
それが「ウイルス」です。
そして米マイアミ大学(University of Miami)の研究チームは最近、世界各地の海から採取された海水サンプルを調べた結果、新たに230種類の”未知の巨大ウイルス”が発見されたと報告しました。
これらの「巨大ウイルス」は何者で、どのような影響を生態系に及ぼす可能性があるのでしょうか?
私たち人間にとっても危険はあるのでしょうか?
研究の詳細は2025年4月21日付で科学雑誌『Nature npj Viruses』に掲載されています。
目次
- 「巨大ウイルス」ってなに? ふつうのウイルスと何が違う?
- 巨大ウイルスはどんな力を持っていた?
「巨大ウイルス」ってなに? ふつうのウイルスと何が違う?
ウイルスと聞くと、多くの人が「インフルエンザウイルス」や「コロナウイルス」を思い浮かべるでしょう。
それらのウイルスは非常に小さな存在であり、それぞれの直径は0.2マイクロメートルにも達しません。
その一方で、ウイルスの中には直径が0.25マイクロメートル以上に達するものがいます。
それが「巨大ウイルス」です。
たとえば「ミミウイルス」などは、一般的なウイルスの10倍以上の大きさあります。
また巨大ウイルスは大きいだけではありません。
遺伝子の数も桁違いで、自分でタンパク質を作る能力や光合成に関係する機能まで持っていることがあるのです。
これは通常のウイルスではあり得ません。

そして研究チームは今回、北極から南極、さらに大西洋やバルト海など世界各地の海水サンプルを集め、特殊なコンピュータ解析を実施。
その結果、これまで科学的に未知だった新種の巨大ウイルスを230種類も発見したのです。
巨大ウイルスはどんな力を持っていた?
チームが新発見した巨大ウイルスたちの多くは、微細藻類やアメーバ、鞭毛虫(べんもうちゅう)などの単細胞生物に感染していました。