徹底した温度管理で長い賞味期限を実現する

 消費者側から見て、どのような商品の特徴や強みがあるのかについて、担当者は次のように話す。

「Green Beansは物流拠点から発送するため、コールドチェーン、温度管理を徹底できるメリットがあります」(同)

 Green Beansでは1週間の鮮度保証を設けた「鮮度+(せんどぷらす)」ブランドの肉や魚、野菜類をラインナップに揃える。鮮度+の肉は真空パック詰めであり、「もやし」の場合は紙袋に詰められている。紙袋にすることなどでもやしの呼吸を促し、鮮度を保てるという。ネットスーパーでは消費者が実際に商品を手に取って選ぶわけではないため、見た目より品質や鮮度などを重視することができる。

 配達時間を1時間単位で指定できる点も強みだと担当者は話す。参考までに、他社のネットスーパーは2時間単位であることが多い。計画買い需要に対応した品揃えで、客単価は1万円強。利用者の約6割が東京都民だ。

3拠点体制で1,500万世帯をカバーする

 現状、消費者の間で認知度が高いのは「イオンネットスーパー」である。23年7月にスタートしたばかりのGreen Beansは、サイト上の広告や動画広告、ポスティング等で地道に利用者を獲得していった。ECサイト上の口コミやレビュー機能も利用を促したという。会員数は1年で21万人を突破し、現在は50万人以上を擁する。

「大規模マンションがある湾岸エリアの需要も多いです。近くに小さなスーパーやコンビニしかない地域もあり、そうした方々にも利用していただいております。」(同)

 タワマンエリアには大規模なスーパーが出店していないこともある。車に乗るにしても、タワマンでは住戸と駐車場の間の上り下りに時間がかかってしまう場合がある。都市部の高齢者や子育て世帯の間で一定の需要がありそうだ。現在は千葉市の誉田CFC(顧客フルフィルメントセンター:大型物流施設のこと)のみだが、26年度には八王子、27年度に久喜宮代にもCFCを構え、3拠点体制にする予定である。

「現在の配送エリアは東京23区と川崎・横浜エリアの一部、千葉県の一部に限られますが、3拠点体制では1都3県の主要エリアをカバーできます。八王子CFCは誉田CFCと同様、久喜宮代CFCは誉田の2倍程度の供給が可能で、3拠点合わせて200店舗分のキャパシティです。1500万世帯のカバーを目指しております」(同)

 未対応の埼玉県南部でも大きい需要が見込めそうだ。エリアは配送効率を考えながら拡大する。発展期にあるネットスーパー業界においてGreen Beansは普及に貢献できるのか、今後の展開に期待が高まる。

(文=山口伸/ライター)