そしてこれまでの研究により、キュートアグレッションは「大きすぎる感情の調整に役立つ」と考えられています。
人は抱いている感情とは反対の表現を行うことで、大きすぎる感情を調整することがあります。
例えば、とても嬉しいときに涙を流したり、あまりにも悲しくて逆に笑ったりすることがあるでしょう。
研究者たちは、これらと同じく、キュートアグレッションが圧倒的な「かわいい」に脳が対処するために生じている、と推測しているのです。
この作用を証明するためには、キュートアグレッションと脳の働きに何らかの関係性を見いだす必要があります。
そこでスタブロプロス氏ら研究チームは、キュートアグレッション時の脳活動を調査することにしました。
「かわいい」という気持ちが強いほど、脳は「頬をプニプニするよう」勧めてくる
実験には、18~40歳の54人が参加。
参加者たちにはかわいい人間や動物の写真、またそこまでかわいくない人間や動物の写真を見てもらいました。
そして、それぞれの写真を見たときの脳をスキャンし、神経の働きを観察しました。
その結果、キュートアグレッションには、脳の感情処理系と報酬系(期待や快感にかかわる分野)が関与していると判明。
特に報酬系とキュートアグレッションには強い相関関係があると分かりました。
さらに対象がより幼くてかわいいほど、キュートアグレッションの衝動が大きくなることも判明しています。

この脳の反応は、2015年の研究とも関連していると考えらえます。
そこでは、キュートアグレッションに従って行動した人の方がそうでない人より、「かわいい」という感情の高まりを短時間で抑えられたと言われています。
つまりこれらを総合すると、キュートアグレッションには次のようなメカニズムがあると考えられます。