「反乱法の適用」は法技術的には、不可能だとされます。反乱法は「あくまで治安維持のための軍事的動員権限であって、個人(例えばトランプ氏)を反乱者として適用する法的な枠組みではない。それでも反乱法の話が出てくるのは、象徴的、道義的、政治的な意味を込めて主張しているためです」(ChatGPT)と。

つまり暴動、内乱が発生した時、大統領が州兵などを動員して、治安回復にあたる「治安側」の道具が内乱法であり、大統領自身を適用対象にするには、法理論的に無理があると、Chatさんは回答してきました。

ではどうするか。ChatGPTさんに米国内の議論を聞いてみましたら、「刑事訴追(選挙結果の否認事件、連邦議会襲撃事件の扇動など)、憲法修正第14条(大統領資格の失格)、選挙による審判(26年の中間選挙、28年の大統領選挙)、共和党内の反乱(弾劾を可能にする議員数の確保)などの主張」が聞かれるそうです。

私は、市場の動揺(トランプ・リスク)もトランプ氏の暴走の歯止めにはなると思います。世界経済に悪影響を与え、インフレを招き、景気後退もありうると考え、株価、債券、ドル相場のトリプル安が起きました。それで関税問題の決着に時間的な猶予を与えるよう方向転換しました。当面はトランプ氏に対する「市場のブレーキ」に期待していいのかもしれません。

それにしても、トランプ氏に続いて、バンス副大統領までが連邦準備委員会(FRB)のパウェウル議長の「金融政策では政治的な配慮はしない」との利下げ拒否発言に反発しました。民主主義は多様な意見で構成され、政治権力者に対する独立した機関、システム、プロフェッショナル(専門家、官僚)からのチェックが必要です。日本政府も、「関税交渉ではウインウインの関係を目指す」とばかりいうではなく、米国の動くをもっと大局的な見地からみつめ、けん制する必要があります。

編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2025年6月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。