州政府も後押しする、止まらないマスクの野望

 マスクの野望はとどまるところを知らない。彼はこのスターベースに、2033年までに500機もの巨大ロケット「スターシップ・ヘビー」を製造・打ち上げるための一大工業地帯を建設しようとしている。

 そして、テキサス州政府もまた、この計画を全面的にバックアップしている。州議会は、SpaceXが環境規制を無視したり、州道を含む周辺道路を自由に封鎖したりすることを可能にする法改正を承認。地元の漁師や先住民コミュニティ、環境保護団体からの反対の声を黙殺し、マスクの「夢」の実現に協力しているのだ。

 かつてトランプ政権の政府効率化担当という役職に就きながら、目立った成果も出せずにカオスを巻き起こしたマスクは、今やその職を辞し、地球上のゴタゴタから逃れるかのように、火星移住計画に全精力を注いでいる。

 2026年には最初の補給ロケットを火星に送り、2031年には最初の入植者を送り届ける。そして2033年には500機のロケットで彼の描く独立した企業運営コロニーを建設する。これが彼の描く壮大なロードマップだ。

 彼自身は「子供たちが成長するのを見届けたいから、自分が行くのは年をとってからかな」と語っている。

 しかし、彼が夢見る火星の着陸予定地に、もし先住民がいたとしたら? おそらく彼らもまた、テキサスの小さな町の住民と同じように、一枚のメモと共に立ち退きを迫られるのかもしれない。

参考:The Courier Mail、ほか

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