本プロジェクトでのクレジット創出手法

 今回のプロジェクト対象は、フィリピンのヌエバビスカヤ州の水田。数日おきに入水と自然乾燥を繰り返すAWD(間断灌漑)と呼ばれる手法を用い、メタン生成菌を抑えることでガス発生量を削減し、クレジット化する。今年3月からパイロット実証を開始しており、今後3年以内に同州の灌漑水田全域となる約2.5万ヘクタールへの展開を見込んでいる。

 なお、「実証実験」という言葉を使っているが、予定では約1000トンのカーボンクレジットが創出される予定になっており、三菱UFJ信託銀行によれば、その1000トンについてはすでに売却先が決まっているという。実証実験といっても、すでに販売をも見越した取り組みということだ。

カーボンクレジット創出の環境スタートアップ

 グリーンカーボンは2019年12月に設立され、カーボンクレジット創出・登録・販売までを一気通貫してサポートする事業を展開している。同社は東南アジアを中心に自然由来のカーボンクレジット創出に取り組み、同社のチャネルを活用し企業などに販売している。販売収益の大部分を農家にクレジット収益として還元し、クレジットの申請や登録代行の手数料を得ている。水田・バイオ炭・森林保全・牛のゲップ・植林・マングローブプロジェクト等幅広く展開中だ。国内では水田クレジット創出プロジェクトを展開し、水田のJ-クレジットの認証を取得している。

 他にも、農業関連、環境関連、米の流通、ESGコンサルティング事業を展開している。また、研究開発にも力を入れており、微生物や植物の研究を、フィリピン、ベトナム、オーストラリアの主要大学、日本の研究機関と連携し実施している。

(文=横山渉/ジャーナリスト)