1990年代のアメリカを震撼させた一つの未解決ミステリーがあります。その名は「ウッズ家の幽霊事件」。ワシントン州バンクーバーの一軒家で、ごく普通の家族が体験した数々の不可解な現象は、専門家による調査でも解明できず、伝説のテレビ番組「Unsolved Mysteries」で特集されたことで全米に知れ渡りました。
オルゴールの謎の音色、ひとりでに動くドアノブ、そして姿を現す3人の幽霊。この記事では、アメリカで実際に起きたこの不可解な事件の全貌に、詳細な記録を基に迫ります。
事件の始まり:静かな郊外住宅に訪れた異変
事件の舞台は、ワシントン州バンクーバーの37番街にある一軒家。1994年12月、エドとメアリーのウッズ夫妻は、2人の娘と共にこの家に引っ越してきました。新しい生活への期待に満ちていた家族に奇妙な影が差し始めたのは、翌1995年6月のことでした。
謎のオルゴールとひとりでに動くドアノブ
最初に異変に気づいたのは妻のメアリーでした。昼夜を問わず、家のどこかからオルゴールのような優しい音色が聞こえてくるのです。音の出どころは夫エドのオフィスだと感じましたが、いくら探してもオルゴールは見つかりませんでした。不思議なことに、この音はメアリーにしか聞こえないことが多かったといいます。
一方、夫のエドも不可解な体験をします。オフィスで仕事をしていると、閉めたはずのドアのノブが「ガチャガチャ」と激しく揺れる音を聞きました。娘のいたずらだと思い、勢いよくドアを開けましたが、廊下には誰もいません。家の中を確認すると、妻と娘たちはすでに寝室で眠りについていました。

次々と姿を現す3人の幽霊
単なる物音では済まされない現象がウッズ一家を襲います。彼らは、家の中で明確に「何者か」の姿を目撃するようになるのです。
1. スカーフを巻いた女性の幽霊 メアリーは、頭にスカーフを巻き、フランネルのナイトガウンを着た女性の幽霊を目撃します。後の調査で、この家の元住民にまつわる悲しい過去が明らかになりました。ウッズ家が越してくる前、この家では1974年に一人の女性が癌で亡くなっていました。彼女は生前、まさしくスカーフとフランネルのナイトガウンを愛用していたのです。さらに、彼女はウッズ家の娘たちが使っているのと同じ部屋で、自分の子供たちを育てていました。まるで、今も娘たちの様子を「見守りに来ている」かのようでした。
2. “リバーボート・ギャンブラー”風の男性の幽霊 夫のエドはリビングルームで奇妙な身なりの男性を目撃しました。リボンタイを締め、口ひげをたくわえたその姿は、まるで昔の「リバーボート・ギャンブラー(川船の博徒)」のようだったと証言しています。この男性の正体につながる記録は見つかっていません。
3. 「ピンキー」と呼ばれる少女の幽霊 夫妻は「ピンキー」と名付けられた少女の幽霊にも遭遇しました。この少女は姿を見せるたびに楽しそうに「クスクス」と笑うのが特徴でした。メアリーは当初、自分の娘の笑い声だと思いましたが、娘が眠っていることを確認し、その声の主がこの世の者ではないと悟りました。
その他にも、シャワー中に見えない誰かに優しく抱きしめられるような感覚を家族全員が体験したり、家の中の物がひとりでに倒れたり浮遊したりする現象が頻発したと報告されています。
