バチカンニュースが11日、報じたところよると、ウクライナのキーウにある聖ソフィア大聖堂がロシア軍のミサイル攻撃で被害を受けた。同大聖堂はユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産に指定されており、11世紀に遡る同大聖堂は、東欧のキリスト教文化の重要な文化遺産だ。

キーウの聖ソフィア大聖堂 Wikipediaより
ウクライナ文化省によると、聖ソフィア大聖堂が10日、ロシアのミサイル攻撃で被害を受け、ミサイルの爆風で外観ファサードのコーニスの一部が破壊された。教会建築の内部には被害はなかった。市内中心部にある聖ソフィア大聖堂は、キーウで最も重要な宗教建築物だ。
カトリック通信社(KNA)の報道によると、ミコラ・トチツキー文相はフェイスブックとテレグラムに被害地域の写真を投稿し、「今夜、敵は再び我々のアイデンティティの核心を攻撃した。大聖堂は我々の国家の誕生を象徴するものであり、ウクライナ全体の魂だ」と述べている。
ユネスコは1990年、キーウ・ペチェールシク大修道院とともに、聖ソフィア大聖堂を世界遺産リストに登録し、2023年、両宗教関連施設を「戦争の影響により危機に瀕している地域」に指定している。
ウクライナ政府の統計によると、2022年2月のロシア軍の侵攻以来、同国では約600の教会やその他の宗教施設が被害を受けたり破壊されたりしている。
ところで、ロシアのプーチン大統領は2022年2月24日、ウクライナ侵攻への戦争宣言の中で、「ウクライナでのロシア系正教徒への宗教迫害を終わらせ、西側の世俗的価値観から守る」と述べ、聖戦の騎士のような高揚した使命感を漂わせた。そのプーチン氏の命令でロシア軍がウクライナ内で正教会の建物だけではなく、カトリック教会の礼拝堂などあらゆる宗教関連施設を破壊していることが改めて明らかになった。
キーウからの情報によると、ロシア軍の攻撃で破壊されたり、被害を受けた宗教関連建物は、正教会、シナゴーグ(ユダヤ教会堂)、イスラム教寺院(モスク)、プロテスタントとカトリック教会の礼拝所などだ。その被害地域はキーウだけではなく、ドネツク、ジトーミル、ザポリージャ、ルハンシク、スミー、ハリコフ、チェルニーヒウなどウクライナ全土に及ぶ。