「英中部の主要都市バーミンガム(Birmingham)でごみ収集業者のストライキが続き、ネズミや害虫の被害が出ている」。

英国でこのニュースが放送され、積み上げられた黒いごみ袋の山、路上に散らばったさまざまなごみの様子が全国的に映し出されたのは今年3月でした。ネズミが徘徊し、相当ひどい状況です。身震いするような光景ですが、「なぜほったらかしになっているのだろう」「これが本当に英国?」と疑問がたくさん湧いてきました。

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財政破綻で危機

バーミンガムは2023年9月に財政破綻したと発表した都市でもあります。

地方自治体の財政破綻とは一体どういうことなのか? これも大きな疑問ですよね。英国の地方自治体の運営には中央政府の予算も入っており、自治体自体が破産する仕組みにはなっていないようです。実際には「財政破綻を通知した」のでした。

自治体は歳出義務を実行する歳入額がない見込みとなったとき、地方自治財政法の第114条によって公表することが義務化されているのです。必要不可欠なサービスを除く全ての新規歳出が停止されました。

当時、バーミンガムは8700万ポンド(約165億円)の赤字が予想され、このほか職員による男女の同一賃金請求が原因で当時7億6000万ポンド(約1451億円)の負債を抱えていると説明していました。

市と労組の対立

ごみ問題の根っこにあるのは昨年来の市と労組の対立です。

ごみ収集作業員の超過勤務手当の削減や時間外労働の禁止、作業員の一部整理などの市の決定に反対し、労組側は今年1月から断続的にストを開始し、3月11日から無期限の全面ストに突入しました。

未回収のごみ約1万7千トンが路上に放置され、廃棄物が悪臭を放つようになったことを受けて、市議会は3月31日に「重大事態」を宣言し、緊急対策に乗り出しました。

これまでも市当局は臨時職員を使ってごみの回収を試みたのですが、スト参加者らがごみ集積所へのアクセスを封鎖するなどして妨害し、うまくいきませんでした。そこで緊急対策として路上清掃車の増加、ほかの部署との連携、近隣自治体への協力要請などを始めました。