約4500年前のものとされる古代シュメールの円筒印章(Cylinder seal、シリンダーシール)。そこには太陽と太陽系内の12個の惑星が描かれているように見えるというのだから、なんともミステリアスな話だ。さらに、そのうちの一つは太陽系の外縁部のどこかに潜んでいるとされる謎の惑星「ニビル」ではないか、という説まである。
論争の的「VA/243」:太陽系か、それとも星々の集まりか?

これまで発見され、学者たちの間で議論されてきた印章の中でも、特に物議を醸しているのが「VA/243」と呼ばれる円筒印章だ。多くの人々によれば、そこには太陽を中心に12個の惑星が描かれているように見えるという。この印章は、少なくとも紀元前3千年紀に遡るもので、ベルリン国立博物館に所蔵され、VA/243としてカタログ化されている。
多くの研究者によれば、この古代アッカドの円筒印章は、これまで発見された中で最も古い円筒印章の一つであり、同時に最も神秘的なものの一つでもあるという。その理由は何か? それは、ゼカリア・シッチン氏のような著者によって惑星X、あるいは古代アヌンナキの故郷であるニビルと特定された、太陽系全体と、その中をさまよう「ならず者惑星」を描いているとされるからだ。

シッチン氏は自身の著書『The 12th Planet(第12番惑星)』の中で、この円筒印章について詳細に論じている。彼によれば、この印章は間違いなく、多数の天体とその相対的な大きさを伴う太陽系を描写しているというのだ。
現在、私たちが知っている惑星は9つ(冥王星を準惑星ではなく惑星と考えるなら)。それに我々の月、太陽、そして一般的にニビルと呼ばれる「ならず者惑星」を加えれば、確かに12個になる。
しかし、このシッチン氏の解釈は多くの批判を招いてきた。マイケル・S・ハイザー氏のような学者は、VA/243の印章に描かれているシンボルは太陽ではなく星であり、シッチン氏が惑星と特定したとされるものも、実際には他の星々であると指摘している。