先日、イシガキフグを捌いていたら、エラの部分にダンゴムシのような形をした、白い色の生き物が付着しているのを発見しました。その正体は、魚に寄生する寄生虫「ウオノエ」です。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
ウオノエの正体とは?
ウオノエは、ダンゴムシやダイオウグソクムシと同じ等脚目に属する寄生虫です。浅瀬から深海まで幅広い環境に生息し、海水域だけでなく汽水域や淡水域にも見られます。
現在、世界で360種類以上が確認されており、日本には約40種類が生息しています。その中でも鯛に寄生するタイノエはとくに有名ですね。
魚の舌になる虫?
ウオノエは、魚の口内や体表、エラ、腹部などに寄生します。口内に寄生するタイプのウオノエは、魚の舌に取りつくと、栄養を奪いながら徐々に舌を萎縮させ、最終的にはウオノエ自身が魚の舌になり変わります。
寄生された魚は、発育が遅れたり、衰弱したりすることがありますが、死に至ることは少ないです。
性転換でつがいに
ウオノエは「マンカ幼生」と呼ばれる幼生の状態で海中を漂い、寄生できる魚を探します。そして宿主に取りつくと、 脱皮を経てオスになります。
興味深いのが、宿主にパートナーとなるメスのウオノエがついていない場合、オスからメスに性転換するという点です。性転換後、新しく寄生してきたオスとペアを組み、繁殖を行います。
一方、宿主にすでにメスのウオノエがいた場合は、そのメスとペアを組み、オスのまま過ごします。

そのため、1匹の魚には基本的に1ペア(オスとメス)で寄生していることが多いです。
もし先に寄生している個体がいなかった場合、性転換し、ひたすら新しいパートナーが来るのを待っているんですね。運命の相手を待ち続けるような姿が、少し健気にも感じられます。
フグノエを観察!
筆者が先日発見したのは、ウオノエの一種である「フグノエ」です。サイズは1.5センチ程で、イシガキフグのエラに付着していました。
