ーー阿部 昭彦 1963年2月 神奈川県横浜市出身。在学したすべての学校に「横浜」がつくのが自慢。大学卒業後は東京の私立中高で国語科専任教諭として29年間勤務し50歳を機に退職。日本橋から三条大橋まで東海道を歩く道中で、これからの人生は地方を元気にする活動に取り組むと決心。福岡県柳川市の地域おこし協力隊として商店街活性化を担当。現在は「地域おこし舎」代表として、SDGsワークショップ開催、協力隊サポート、マイクロブックレット(ストーリーブック)制作などを手がけている。多拠点生活者。演奏歴40年のベテランベーシスト。好きな言葉は「イエスアンド」。 |
多拠点生活は暮らしのスパイス。
週末に新宿のブルースバーでベースを弾いて、
翌日の夜は沖縄のおじいと泡盛を飲みながら談笑。
次の週には九州の温泉をはしごしながらテレワークして、
シェアハウスの仲間とまちづくりを熱く語って夜が更けて行く。
これが私の日常ルーティーンです。
旅が大好きで国内の全都道府県をまわりながら、
ずっと心に描いていたのは『旅するように暮らしたい』という思い。
ちょっとはそこに近づけたのかな。
移動の飛行機は書斎さながらのプライベートスペース。
仕事をしたり、本を読んだり、映画を観たり。
そして空港ターミナルを出たら、それぞれのまちの暮らしが待っていてくれます。
多拠点生活は暮らしのスパイス。
それぞれのまちに訪れるたびに新鮮な刺激が私をリフレッシュしてくれます。
だらだらとただ時間だけが過ぎていく暮らしにはもう永遠にさようなら!!(笑)
最初は定住先を求めて九州へ!!
知り合いが1人もいない九州に移住したのは2014年の初夏のこと。
最初はその地域に根を張ってしっかり定住するつもりでした。
地域おこし協力隊として活動しながら「定住」の方法を手探りした3年間。
しかし結果的には定住はできませんでした。
直接的な要因としては起業がうまくいかなかったこと。
でも、このことが私に新しい道を拓いてくれます。
「禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)」
↑元・国語の先生っぽい(笑)
人生、何が起こるかわかりませんね。
逆境にイエスアンド!!
即興演劇をしている友人から教えてもらった「イエスアンド」。
共演者の言葉を一切否定せずに一旦すべて受け入れて、
自分のアイデアを更に付け加えて返します。
これって演劇だけのことじゃない。
自分の生き方にも応用できることだ。
それ以来「イエスアンド」は座右の銘となりました。
定住の道に赤信号が灯ったとき、
いつまでも悩んでも仕方ないと思い切れたのはそのおかげでしょう。
そう。逆境こそ「イエスアンド」の出番!!
定住できなくてよかったじゃないか。
失敗をそのまま受け入れてしまおう。
そしてそれをポジティブにできるアイデアを考えよう!!
ヒントは東海道五三次にあった!!
前職(国語の先生)を辞めてまずしたのが東海道を歩く旅。
東京の日本橋から京都の三条大橋までの約 500kmを自分の足で歩きたい。
長距離を歩くための体慣らしをして計画もきっちり立てていざ出発!!
この経験がのちに地域おこし協力隊への応募へとつながるのですが、
同時に自分の身体との対話や内面を深める良い機会になりました。
歩いている時の思考は本当にオススメです(^.^)
宿を8時くらいに出て、2時間歩いて小休止。
また2時間歩いてお昼を食べながらゆっくり1時間くらい休憩。
その後は2時間歩いて小休止してまた2時間歩いて宿に到着。
毎日ほぼ同じように東海道を西に進みました。
歩く距離は1日あたりだいたい40km。
今日は体調がいいから少し先まで欲張ろうとした日がありました。
なんと翌日は足が痛くて思うように歩けません。
1日あたり40km。
これを崩さなければ毎日でも歩けます。
宿場町もだいたいこの距離で置かれています。
別の言い方をすると40kmが江戸の人々の1日の生活圏ということ。
現代の高機能な靴を履いていてこの距離だからもしかしたらもっと短いかもしれません。
40kmの中に毎日の暮らしが詰まっているのが江戸のまちというわけです。
現代人の生活圏って??
自分の体験から見つけた40kmという生活圏。
昔の人たちは、この中で仕事をして食事をして家庭を築き暮らしてきました。
では現代の私たちの生活圏ってどのくらいになるのでしょうか?
交通インフラの整備や自動車の普及で格段に移動距離が伸びました。
今では片道1000kmを超える東京―福岡も日帰りで出張する時代。
私たちの生活圏は日本の半分くらいまでには広がっているのではないでしょうか。
町まで歩いて行って用事を済ませるついでに買物をして家に帰る暮らしは、
車や電車、飛行機で移動して用事を済ませるサイズ感に広がっています。
だとすれば、そのサイズ感の暮らしをしてもいいのではないか。
これが多拠点生活への第一歩でした。
LCCよ、ありがとう!!
協力隊時代にも九州に暮らしながら東京にはよく通いました。
自分のバンドのライブに合わせて週末だけ東京で過ごす。
日曜の夜か、半休をもらって月曜の午前中に九州に戻る。
日常生活は環境の良い九州で過ごすけれども
友人と大切な時間を過ごす時には東京にいる暮らし方。
やってみたら意外と簡単にできてしまいました。
往復の飛行機はLCCを使えば片道数千円で行き来ができます。
東京―福岡間の移動にかかる時間はおよそ2時間。
江戸時代の人が聞いたらさぞ羨ましがることでしょうね(笑)
現在はここに大好きな沖縄を加えて三角形に日本を飛び回っています。
それでも飛行機代は月あたり2万円くらいで済みます。
便利な世の中になったものです。
家賃はリーズナブルに
よく聞かれるのは家賃のこと。
いま自分の部屋と言えるのは4ヶ所(東京・福岡・柳川・沖縄)ありますが、
家計の中で家賃が占める割合はさほど大きくありません。
カラクリは福岡と柳川はシェアハウスに住んでいるから。
シェアハウスは家賃を安くするだけでなく友達との交流も楽しいから二重に嬉しい!!
音楽好きな仲間と過ごす時間はプライスレス(←古っ)
東京も必要十分な広さで抑えてあるし、沖縄は古い建物で格安な物件を探しました。
ゆくゆくは東京と沖縄の部屋もシェアハウスにしていきたいなと考えています。
誰か一緒にシェアハウスしたい人いませんか?
ALL or NOTHINGじゃない
「シェアリングエコノミー」という言葉をよく聞きますね。
UberだったりAirbnbだったり。
モノを占有する時代は終わったんじゃないか。
私はそう感じています。
必要な時に必要なモノだけを。
そんなシンプルライフに憧れます。
楽器がなければ家なんていらないかもしれないとも思います。
一昔前までは「何を所有しているか」は大きなステータスでした。
乗らなくても2000万の高級外車を持っていることが自慢だったり。
でもこれって価値を計るものさしがお金でしかありません。
私が弾くベースだって高いものは良い音がします。
でも本当に大事なのはそれを使ってどう表現するかということ。
お金では計れない価値がそこにはあるはずです。
良い絵だからこそ美術館に展示してみんなで楽しむ。
美味しいお酒だからこそ大勢で飲んで喜びを共有する。
そんな生活の方が楽しいと思いませんか?
ALL or NOTHINGの時代は古い。
これってどういう生活をするのかにも通じると思います。
一ヶ所に住み続けることの良さも確かにありますが、
そうではない新しい暮らし方もあるのではないでしょうか。
こころがまちを選ぶ まちがこころをつくる
東京・福岡・柳川・沖縄を飛び回る暮らしはとっても楽しい!!
なぜならそれぞれのまちにそれぞれの顔があるから。
東京では昔馴染みと音楽を楽しみ酒を酌み交わしバカ騒ぎ。
福岡では新しい出会いに感激して美味しい食事に舌鼓を打つ。
柳川ではまちづくりの仲間と熱いトークを交わして夜が更け、
沖縄では南国の空気の中で自分を癒して再生させる。
自分のこころに従ってそれにふさわしい場所にいる。
いたいところにいられるってそれだけで幸せなことです。
でも最近はこんなことも感じています。
その場所にいると、いつ間にかその場所に合ったこころになっているのではないか。
こころが場所を選ぶと思っていたけれども、
場所がこころをつくっていることも確かにあるようです。
のんびりとしたいから沖縄に行くのもあるけれども、
沖縄にいるからのんびりとしたこころになる。
多拠点での暮らしの楽しさってこれがすべてかもしれません。
セルフコントロールだけでは難しいのが自分のこころ。
それを暮らすまちの力に助けてもらっているのだと思います。
これがノマドだ
ITの普及によってオフィス以外で仕事ができるようになりました。
こうした人たちのことをノマド(ノマドワーカー)と呼びます。
確かにオフィスから一歩出ることで発想も解放されるでしょう。
どこにいてもPCやスマホがあれば仕事ができる時代です。
クリエイターではない私でも書類作成やメール連絡などは場所を選びません。
あとはどうしても実際にそこにいなければいけない時だけそこにいけばOK。
多拠点生活だから仕事にマイナスということはありません。
逆にいろいろなまちで新しい仕事をもらえることの方が多いですね。
もともとノマドとは遊牧民のこと。
季節に合わせて牧草地帯を移動しながら暮らす人々です。
当然のことながら夏と冬の暮らしはまったく異なります。
自分の多拠点生活を振り返って本当にノマドだなって思います(笑)
必要に応じて生活そのものもまったく別のものに切り替える。
同時にこころのあり方とかものの見方も自然と別のものに替わっていきます。
場所が変わるだけではなく人としてのありようが変わっているような感覚。
もしかしたらこれが本当のノマドなのかもしれません。
いろんな移住のカタチがある
もちろんそのまちに根を張って生活したいという人を否定したりしません。
わかってほしいのはいろいろな価値観があって、
いろいろな移住のカタチがあるということ。
私はもともと旅が大好きだったし、
旅するように暮らしたいという気持ちが強かった。
実は大学で入っていた音楽サークルの名前は「デラシネ」。
フランス語で根無し草を意味します。
いま多拠点生活を楽しんでいる原点は案外ここにあったりして(笑)
たぶんこの記事を読んでくださっているあなたは
移住を考えているか、実際に移住にチャレンジしている方でしょう。
本でもネットでもたくさんの情報をご覧になっていることと思います。
でも、全員に必ず当てはまる移住の方程式などというものはありません。
あなたにはあなたならではの移住のカタチがあるはず。
ぜひそれを見つけて楽しい移住生活を実現してください。
提供元・Fledge
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