釣具店勤務の経験から、釣りエサにまつわるちょっとした裏話を紹介する。アカムシを大量購入するお客や強烈な匂いの生き餌、イソメの体調を見極める職人技まで、釣具店ならではの小話を紹介しよう。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版・青砥一生)

「イソメの顔色が分かる?」元釣具屋店員の記憶に残る【釣りエサにまつわる思い出3選】

釣りエサにまつわるエピソード

釣具店で5年勤務していた筆者。この記事では、毒にも薬にもならない、時合い待ちの暇つぶしにはなりそうな小話をいくつかご紹介しよう。

アカムシを大量に買うおじさま

以前私が働いていた釣具店では、生きたアカムシをg単位で販売していた。アカムシの使用用途は主にワカサギ釣りで使われることが多い。1日ワカサギ釣りで使うとしても30g程度あれば十分な量にはなるのだが、定期的にこられるおじさまが100g単位で買っていかれていた。

おじさまの風貌は恰幅が良く口ひげを蓄えており、中学校の理科の先生というような感じ。一体なんの為に買われているのだろうかと、顔馴染みになった位で話しかけさせてもらった。

水生昆虫のエサだった

おじさまはゲンゴロウ等の水生昆虫を飼育されているようで、そのエサとしてアカムシを買われているのだった。私も昆虫は好きなので少々昆虫談義に花を咲かせ、その後もたびたびアカムシを大量購入して頂いていた。釣具店にはいろんなお客様がいらっしゃるものだ。

「イソメの顔色が分かる?」元釣具屋店員の記憶に残る【釣りエサにまつわる思い出3選】水生昆虫のエサにもなるアカムシ(提供:週刊つりニュース中部版APC・松森渉)

釣具店で匂いがキツイ生き餌

私がいた店舗では青イソメ、赤イソメ、石ゴカイ、本虫、ストロー虫、カメジャコ、アケミ貝、ボケ、ユムシ等を取り扱っていた。ものによってはシーズン限定品だ。

これらは毎日エサの担当者が掃除をして、死んでしまったものは取り除かなくてはならない。その掃除のときには否が応でも匂いがする。

アケミ貝とストロー虫は別格

一番キツかったのは、ウナギ釣りの特効餌である“アケミ貝”と夏の夜釣りのお供にピッタリの“ストロー虫”だ。どのエサも生きているうちは人間がはっきりわかるほどの強い匂いは発しないのだが、死んでしまった時の上記2種の匂いは格別である。