近年の物価高騰は、日常生活だけでなくレジャーや趣味の分野にも静かにしかし確実に影響を及ぼしている。釣り業界も例外でなく、多くの釣り人が道具や燃料の価格上昇に悲鳴を上げている。特にリールやルアー、また沖釣りでの燃油費用の別請求など、あらゆる面で値上げが実感されるようになってきた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
リールで感じる物価高騰
釣り具の中でも、リールはもっとも値上げを肌で実感しやすい製品である。特に中〜高価格帯のモデルでは、その価格変動が顕著だ。
要因として大きいのが、リールの主要部品に使用される鉄やアルミなどの金属価格の上昇である。コロナ禍以降の世界的な物流の混乱、さらにロシアによるウクライナ侵攻など地政学的リスクが重なり、素材コストは上がり続けている。
こうした背景から、以前であれば3万円台で手に入ったモデルが、現在では4万円近くまで価格が上昇しているケースも珍しくない。ハイエンドモデルでは、定価10万円を超すものも出てきた。
さらにリールの世界は奥が深く、専門性が高い沖釣りのリールとなると、さらにものすごい価格になっているかもしれない。日本製の高精度リールにおいては、国内外の需要が根強いため、原価上昇分がそのまま販売価格に転嫁されやすい傾向がある。

価格の上昇は概ね10%程度
リールに限らず、その他の釣具にも広く価格改定の波が押し寄せている。たとえば、ワームやジグヘッドといった消耗品においても、以前より10%前後の値上げが進んでいる。
ワームは素材自体の価格が上昇しているほか、製造・輸送コストの増大も影響している。パッケージあたりの単価はさほど大きくなくとも、頻繁に補充が必要な消耗品だけに、釣行のたびに出費の増加を感じやすい。
ジグヘッドやシンカー類も例外ではない。金属の価格上昇はここにも影響しており、特に鉛やタングステン製品は顕著に値上がりしている。釣具店の店頭で「以前より少し高くなったな」と感じることが多くなっているのは、その証左である。