一部のメディアでは、オーストリアは欧州でも銃所有がかなり自由で、銃社会だと報じているが、銃の購入と銃携帯には厳格な武器法が施行されている。ただ、バルカン半島のボスニア・ヘルツエゴビナ紛争の影響などもあって、かなりの武器がオーストリア国内に流れ込んでいる。同国では銃乱射事件は少ない。
公安総局長のフランツ・ルフ氏によると、容疑者のアパートには遺書らしいものが発見されたという。ただし、その遺書からは犯行動機については何も記述されていなかった。また、犯人のアパートでパイプ爆弾が発見されたが、爆弾は機能していなかったという。 同国のメディアでは「容疑者は学校時代にいじめにあっていたことを恨み、自分が通っていた学校を襲撃したのではないか」といった憶測情報が流れている。容疑者は学校を中途で退学している。その後、職業斡旋所を訪問したことが分かっているが、事件直前の詳細な動向は明らかではない。
当方は1980年代、約半年ほどグラーツ市に住んでいた。首都ウィーンとは異なり、民族色が強く、市民は素朴でシュタイリッシュと呼ばれるドイツ語の方言を話す。ちょうど10年前の2015年6月、グラーツで一人の男が歩行者道路を車で暴走し、3人を殺害、36人が負傷するという暴走事件が起きたことがある。今回の銃乱射事件でグラーツ市民は大きなショックを受け、悲しみに沈んでいる。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。