また、インフラ職の大きな特徴は地域格差が少ないことである。都会であろうと地方であろうと、インフラが必要である以上、働き場所を自由に選べ、物価の安い地方でゆとりのある暮らしを送ることも可能だ。

ただし、愛知県や北関東のような工業地帯では大企業への就職が特に強く、工業地帯が少ない地域では地元中小企業や公共事業関連の仕事が中心となる場合がある。それでも、インフラの普遍的な需要は地域を問わず安定している。

大卒から事務職を目指すルートはオワコン

無計画に大卒進学をすると、多くの人は安易に事務職やホワイトカラー職に目を向けがちだ。「肉体労働や接客業を避けるため大学へ」という人も少なくない。だが、この分野はすでに人余りが深刻であり、AIによる淘汰の影響をまともに受けることになる。

人手不足の今の時代でも、すでに事務職は深刻な人余りで、高度なスキルを必要としないデスクワーク職は今後も昇給が期待できない。企業は採用に困ることはなく、AIによる置き換えも進むからだ。もちろん、高度専門職や人手が入ることに高い付加価値が生まれるような仕事は残るだろうが、今後そうした仕事に付ける人は例外になる可能性はある。

さらに状況は変わる。今後、AGI(汎用人工知能)や量子コンピュータなど、今後現れる未知のテクノロジーが「デスクワークにおけるテールリスク」となるだろう。

以上のことから考えなしに大学へ行くのは大きなリスクになった。若ければ軌道修正も可能だが、年を取ってからAI失業すれば行き先に困る可能性も出てくる。

もちろん大学進学を全否定するものではない。医師や研究職など、大卒資格が必要な職もあるし、大学で得られるものも多い。しかし「なんとなく大学」という選択肢は、もはや合理的とは言えない。

令和時代においては、AIに強く、地域にも左右されず、安定した需要と収入が見込め、投資対効果も高い「工業高校」という選択肢を真剣に検討するべきである。ただし、仕事内容や地域の就職環境を理解し、自分に合ったキャリアを見極めることが重要だ。 キャリアの常識は、時代とともに変わる。柔軟に構え、現実に即した選択を取れる者こそが、これからの社会を生き抜いていける。