サッカー選手の「保有権」とは、選手の契約や移籍に関する権利をどのクラブが持つかを示す概念だ。これは、選手がどのクラブと契約しているか、またその選手が他のクラブに移籍する際にどのような条件が適用されるかを決定する重要な要素でもある。保有権には以下のような形がある。

  • 完全保有権:1つのクラブが選手の契約を100%保有し、移籍に関するすべての決定権を持つ状態。
  • 共有保有権:複数のクラブが選手の権利を一定の割合で共有する形態。例えば、あるクラブが50%、別のクラブが50%の権利を持つ場合、移籍金の分配や買い戻し条項などが契約に含まれることが一般的。
  • レンタル契約:選手の保有権は元のクラブが保持しつつ、一定期間他のクラブに貸し出す形態。この場合、元のクラブが将来的な移籍の主導権を握る。
  • 買い戻し条項:元のクラブが選手を他クラブに売却した後、一定の条件で選手を再獲得できる権利。

保有権は、移籍金(契約解除金)の設定、選手の市場価値、さらにはクラブ間の交渉戦略に大きく影響する。特に有望若手選手の場合、将来の移籍金上昇を見越して複数のクラブが権利を共有するケースが多い。

久保の保有権に関しては、彼のキャリアの特殊性と移籍の経緯から、複雑な構造が背景にある。

2022年7月、久保はレアル・マドリードからソシエダへ完全移籍。この際、ソシエダは移籍金650万ユーロ(約9億円)を支払い、久保の保有権を100%取得した。ただし、完全移籍といっても契約には重要な条件が付随している。具体的には、マドリードが将来的な移籍金の50%を受け取る権利を保持しているという点だ。

ソシエダは久保の移籍金を6,000万ユーロ(約99億円)に設定している。ソシエダから他クラブに移籍する場合、ソシエダが得るキャピタルゲイン(移籍金から当初の購入価格を差し引いた利益)の50%をマドリードに支払うというものだ。