ではその素人外交が次に何をするか、といえばロシア苛めだとみています。その苛め方次第ではプーチン氏は鋭く反応します。ここが読みにくいのです。例えば習近平氏ならばやられたら同じことをやり返し、2倍返し、3倍返しはしません。ところがプーチン氏は形を変えて反応する傾向があるのです。
トランプ氏が最も嫌がることは戦争であり、アメリカがそれに直接的に関与することです。トランプ氏の姿勢を見ていてフランクリン ルーズベルト大統領を思い出しました。セオドア ルーズベルトとは遠い親戚ですが、ルーズベルトと書くと混同するのでフランクリン ルーズベルトをFDRと略すことも多いので私もそうします。FDRは欧州本土で第二次大戦がはじまった際、アメリカは参戦せずというのが選挙公約でした。以前から何度も指摘していますが、アメリカ人は戦争嫌いであまり出兵したくないのです。そして武器は立派だが、出兵では歴史的にさほど強いわけではないのも事実です。
FDRが第二次大戦において参戦しないという公約を破ったのが対日参戦でした。FDRは大の日本人嫌いで「サル退治をする」と世論形成を行い、それに成功するのです。この参戦に向かう戦略が闇の部分とされ、真珠湾攻撃は実はFDRは事前に知っていたのに放置して日本軍がネズミ捕りならぬサル捕獲に引っかかるのを待っていた、とされます。真実はわかりません。
では今回はどうでしょうか?プーチン氏はトランプ氏への仕返しに嫌がる戦争に巻き込もうとする、これが私の考えるプーチン氏の策略です。ならば対象国はエストニアが最も都合がよいでしょう。NATO加盟国故にロシアがエストニアを攻めれば否が応でも欧州とアメリカ、カナダは反応しなくてはいけません。エストニア侵攻は小国で海に面しているのでロシアは攻めやすく、それこそ短期間で陥落させることもできなくはありません。当然、NATO軍は防衛します。ただ、NATOもやりたくないのです。金もかかるし、経済的にも悪影響が出る、社会不安も起きるでしょう。故にロシア国境を越えては攻めないのです。つまりプーチン氏は本気ではないけれどエストニアは第三次世界大戦の導火線になりうると考え、欧米に対して「この導火線に本気で火をつけるぞ」と恐喝するのです。