それから30年間、マズレクさんも前の持ち主と同じく隕石を自宅のドアストッパーとして使ってきました。

途中、農場から引っ越すことがありましたが、隕石を手放すことはなかったという。

ただ話のネタとして時々、自分の子供の学校に隕石を持って行って子供たちに披露したといいます。

ところが2018年になって、マズレクさんは同じミシガン州で見つかった隕石が高値で売却されたという話を耳にし、「ちょっと待てよ、私の隕石は一体どれくらいの価値があるのだろう?」と気になり始めました。

そこで地元のセントラル・ミシガン大学(CMU)の地質学者であるモナ・シルベスク(Mona Sirbescu)氏に鑑定を依頼することになったのです。

日本円で1000万円を超える価値があった!

シルベスク氏は当初、隕石の鑑定にあまり乗り気ではありませんでした。

というのも彼女が同大に赴任して18年間、何度も「隕石だと思うから調べてほしい」との依頼を市民から受けたのですが、一度として本物だったことがなかったからです。

しかしマズレクさんが持ってきた岩石を見ると「すぐに何か特別なものだと分かった」と話します。

そして詳しく調べた結果、岩石は鉄が88.5%、ニッケルが11.5%と、地球上の岩石では見られない組成の「鉄隕石」であることが判明したのです。

鉄隕石は一般に約90〜95%が鉄、残りはニッケルとイリジウム、ガリウム、ときに金を含む微量の重金属で構成されています。

(酸素が豊富な地球では鉄が錆びずに残るのは難しいので、天然の鉄の塊があると、だいたい隕石と判断できる)

「エドモア隕石」と命名された
「エドモア隕石」と命名された / Credit: CMU – Real shooting star lands at Central Michigan University(youtube, 2019)

さらにこの隕石は過去にミシガン州で見つかった隕石の中で6番目の大きさであり、値段にして約7万5000ドル(日本円で1000万円以上)の値段が付けられました。