場合によっては第三者を交えた話し合いを提案することも有効でしょう。

交渉を有利に進めるためには、就業規則や雇用契約書を確認し、自分の勤務実績や貢献を整理しておくことが重要です。可能であれば同僚の証言や支援を得ることも検討し、話し合いの内容は録音や記録として残すことをお勧めします(ただし相手の同意を得ることが望ましい)。

早期の転職活動に注力する道を選ぶと、精神的ストレスが少なく、新しいキャリアを早期に開始でき、時間とエネルギーを前向きに使えるという利点があります。しかし、不当な扱いが改善されず、経済的な損失の可能性があり、同様の問題が他の労働者にも起こる可能性が残ります。

一方、会社と争う道を選んだ場合、正当な権利の回復や経済的補償を得られる可能性があり、職場環境の改善につながることもあります。ただし、時間と費用がかかり、精神的負担が大きく、仮に復職できても働きづらい環境になる可能性があることも考慮する必要があります。

実践的な対応方法

労働トラブルに直面したとき、「労基署に駆け込む」だけが解決策ではありません。労基署は特定の法令違反には有効ですが、すべての労働問題を解決できるわけではないのです。

重要なのは、自分の状況と優先順位を明確にすることです。家族の生活、精神的な健康、将来のキャリア、正義感など、様々な要素を総合的に判断する必要があります。

どの道を選ぶにせよ、一人で抱え込まず、適切な相談窓口を利用しながら、冷静に対応することが大切です。労働者には様々な権利と選択肢があることを知り、自分にとって最善の道を選んでください。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)