しかしそれらの知見の多くは筋肉の太さ(筋肥大)に関するもので、筋力の向上については十分に検証されていませんでした。

また対象者も未経験者や若年者が中心で、普段からトレーニングを積んだ人で軽い負荷の効果を調べた例は限られていました。

そこで今回紹介する研究では、低負荷トレーニング(Light Load: LL)と高負荷トレーニング(High Load: HL)の効果を、経験豊富なトレーニー(訓練者)で直接比較することにしました。

筋肉のサイズだけでなく筋力や筋細胞の変化まで含めて包括的に調べ、「軽い負荷でも重い負荷と同等の適応が起こるのか」を検証することが目的です。

軽すぎて笑った? それ、筋肉つきます

軽すぎて笑った? それ、筋肉つきます
軽すぎて笑った? それ、筋肉つきます / Credit:Canva

研究チームは、週2回の脚の筋力トレーニングを9週間続けてもらう実験を行いました。

参加者は平均26歳の男女14名で、全員が日頃からレジスタンストレーニング(筋トレ)をしているトレーニング経験者です。

ユニークなのは、そのトレーニング方法を左右の脚で変えたことです。

各被験者は片脚では高負荷トレーニング(3~5回持ち上げるのが限界の重量=3~5RM)、反対側の脚では低負荷トレーニング(20~25回が限界の重量=20~25RM)を行いました。

どちらの脚も毎回「自力で持ち上げられなくなるところまで」反復し、セット数も左右で同じになるよう組まれました(つまり高負荷の方は少ない回数×高重量、低負荷の方は多い回数×低重量となります)。

トレーニング種目は脚全体の力を鍛えるレッグプレス(多関節運動)と、太もも前面の力を鍛えるレッグエクステンション(単関節運動)の2種目です。

それぞれの脚について、開始前と9週間後に筋力と筋持久力、それから筋肉量や筋細胞の変化を測定・解析しました。

結果、筋力と筋肥大の面で軽い負荷トレーニングは重い負荷トレーニングに匹敵する効果を発揮することが示されました。