なぜカナダに多い?氷河期が作った奇跡の地形

 この「島の中の湖の中の島の中の湖の中の島」は、NASAのランドサット8号衛星によって撮影された画像でも確認できる。カナダの独特な地理的条件が、このような「再帰的な湖(島の中に湖があり、その中にまた島があるような構造)」を数多く生み出しているのだ。実際、カナダにはヒューロン湖のマニトゥーリン島(世界最大の湖の中の島)や、バフィン島のネティリング湖(世界最大の島の中の湖)も存在する。

 この奇妙な再帰島は、極寒の北極圏という人里離れた場所にあるため、これまで誰も足を踏み入れたことがない可能性が高い。ビクトリア島(イヌイットの住民からはキトリネクと呼ばれる)は、アメリカのアイダホ州よりも大きいにもかかわらず、人口は2000人にも満たない。

 NASA地球観測所によれば、カナダのほぼ全域は最終氷期に氷河で覆われていた。氷河が移動する際に、無数の水路を削り取り、氷河によって削り取られた粘土、砂、岩石の混合物である氷河堆積物でできた小さな丘を残していった。

 カナダ地質調査所の地質学者ダニエル・カー博士はNASA地球観測所に対し、「この地域は約8000年前に氷がなくなりました。しかし、氷床の重みで土地が沈下し、北極海の海水が陸地に浸水したのです」と語っている。その結果、この地域には何百万もの小さな湖が点在し、その多くには島があり、さらにその島々には独自の入れ子になった湖や島が存在することになったのだ。

 この「脳みそが痛くなる」島は、地球が作り出した奇跡の一つと言えるだろう。そして、まだまだ私たちの知らない驚くべき景色が、世界のどこかには眠っているに違いない。

参考:Daily Mail Online、ほか

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