それでは、弟子たちを激変させた聖霊とは何だろうか。「ヨハネによる福音書」第14章25.26節には「これらのことは、あなたがたと一緒にいた時、すでに語ったことである。しかし、助け主、すなわち、父がわたしの名によってつかわされる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、またわたしが話しておいたことを、ことごとく思い起させるであろう」と記述されている。

この聖句で重要な箇所は、「あなたたちの心に私(イエス)が話したことをことごとく思い起こさせるだろう」という部分だろう。これは聖霊の役割を説明する箇所だ。イエスが生きている時、誰もがその語った内容を理解できなかった。だから、聖霊はイエスが語った内容を思い出させ、その真意を解くというわけだ。

ちなみに、前ローマ教皇フランシスコはペンテコステでの聖霊の役割について「多様性と調和、団結は上からくる火だ。団結の実現は、地球の実ではなく、天国の実だ。それは私たちのコミットメント、努力、合意の結果ではなく、聖霊の行動の結果であり、聖霊が私たちを完全な交わりの道に導くために、信頼をもって心を開かなければらない。団結は恵みであり、団結は贈り物だ」と述べている(バチカンニュース2022年6月3日)。

なお、ローマ教皇レオ14世は7日、聖霊降臨祭の前夜祭、サン・ピエトロ広場で約7万人の信者たちを前に「キリスト教信仰が、特に不確実性、分裂、そして世界的な課題を抱える現代において、一致と協力をもたらすように」と呼びかけている。

21世紀にペンテコステがあるとすれば、33歳で十字架で亡くなったイエスの生涯の真相、十字架救済の意味、再臨の問題などを明確に解明し、イエスが語りたくても語れなかった内容を私たちに明らかにするのではないか。もし、既に明らかにされたというのならば、「ヨハネによる福音書」が述べているように、私たちはそれを必死に思い起こさなければならない。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年6月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。