こういう投資環境が整うと一億総株主社会になるのだと思います。株=株価の振れ幅が大きい=素人は損をしやすいというイメージを打破する必要があります。そのためには企業側も努力する必要がありそうです。企業の株主管理を担当するのは総務部あたりだと思いますが、総務部というは割と風通しが悪いところで定年間近の方が「主」のように鎮座している会社もあるでしょう。経営陣は総務部を活性化させ、株主管理をもっと積極的に検討すべきでしょう。

岸田氏のいう株主総会の改善、特にオンライン化は一つの手立てです。日本は株主総会といえばどこか会場を借りて社員総出で手伝い、総会出席者に土産を持たせ、と上げ膳据え膳、「株主様は神様です」ぐらいの扱いだと思います。オンラインは実にさっぱりしており、それが良いのか悪いのかわかりませんが、正直出席したくなる代物ではありません。株主総会の案内も代行会社から山のように封筒が届きますが、中身はたいてい1枚の紙。そこに総会の日時とバーチャルのアクセス方法が記載されているだけです。あとは何もありません。日本のように立派な決算報告書が添付されることもありません。見たければウェブからIRを見てくれ、というようなものでしょう。

では最後に1億総株主社会になれるかどうか、もっと根本的な部分について考えてみましょう。株式投資とはその企業が将来成長することを前提としています。株価が上昇するには一般的には2つのアプローチがあり、規模の追求による業容拡大、もう一つは売り上げよりも利益率を重視し、同業他社に比べて稼ぎ方が図抜けている場合です。その中で日本の内需主体の企業を見ると少子高齢化の環境下、業容拡大を狙うには難しい業種や企業はたくさんあるのです。それらの会社は利益率の改善を図るべくスリム化ないし、M&Aでの規模の追求を図らない限り株価の上昇はないのです。

一般投資家からすれば「この会社にもう3年も投資しているのに株価は全然上がらないわね」というケースが増えてしまいやすくなります。それ故に私が以前から再三言っているように日本は上場企業数が多いからM&AやMBO、合併による上場廃止を推し進め、現在の上場会社数を2030年までに3割減らすぐらいのプランをすべきでしょう。それにより企業の経営効率が大きく好転し、株価は上昇しやすくなると思います。