起用されている両選手は、共に足元の技術の高さや機動力に優れ、守備から攻撃へのスイッチを入れることが出来る。このボランチ陣に小倉が入るために必要なものは何か。筆者は、ボールを奪ってからの判断スピードやワンプレーの精度を磨くことが重要と考える。現に小倉が出場した試合では、ボール奪取後に次のプレー選択に迷いが生じ、相手に刈り取られる場面が見受けられた。もちろん、J2からJ1へとカテゴリーが変わったことで、速くなったプレススピードに苦労しているのだろうが、J1でもボランチとして活躍し続けるためには、このプレスを搔い潜るべく、判断スピードの速さを磨く必要があるだろう。

ピッチレベルで感じたJ1とJ2の違いとは?
トップカテゴリーのJ1では、各国の代表クラスや元代表選手といった経験豊富な選手が多く、リーグ全体のレベルが非常に高い。それに対してJ2は成長過程の若手選手や出場機会を求めて加入したJ1選手、ベテランの叩き上げ組などの選手が多く、レベルの差は歴然である。
昨2024シーズンのJ2でプレー経験がある小倉にプレー面での差を訊くと「J1とJ2では、ひとつひとつの判断の速さに大きな差があると思っています。1つテンポが遅れてしまうとパスが出せなかったり(相手に)囲まれてしまいます。そういったことを肌で感じました」と語った。しかし「徐々にJ1の試合スピードや基準にも慣れてきていますし、有意義な時間を過ごせています」と少しずつ順応していることを明かし、その表情からも充実ぶりがうかがえた。

J1の舞台で示した通用性と、見えてきた課題
小倉にとっては初めてのJ1だが、度胸の良さや球際の強さは十分通用することは証明された。今季初勝利となったリーグ戦第2節ファジアーノ岡山戦(1-0)では、完全に中盤を支配するなどMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)級の活躍を見せた。今シーズンここまでの手応えを訊くと「インターセプトはある程度通用する部分だと思っています」と語ったが、「奪った後のプレーの選択の精度に関しては、まだまだ(ボールを)持って探してしまったり(ボールを)運んだ時に潰されてしまうことがある。守備から攻撃に転じる時の判断の速さやプレースピードをもう少し上げていく必要がありますし、そこが課題だと思っています」と答えている。