しかし殆どの場合、本人たちはそれが異常であることに気づいていません。
ではどういう人が、有名人崇拝に陥りやすいのでしょうか? リスクのある人たちの特性を理解することは、この状態を予防するために重要になってくるはずです。
社会不安が高い人は「有名人崇拝」に陥りやすい
今回の研究チームは、有名人崇拝に関連しそうな特性として「社会不安」「スマホ依存症」に着目し、オンラインプラットフォームを使用して、中国の大学から募った学生1147名を対象に調査を行いました。
年齢は19〜26歳で、女性が636名、男性が511名となっています。
参加者には、有名人崇拝・社会不安・スマホ依存症・社会経済状況のレベルを評価する一連のアンケートに回答してもらいました。
そしてデータ分析の結果、社会不安のレベルが高い学生ほど、有名人崇拝をしやすい傾向があることが分かったのです。
社会不安とは、他者とのコミュニケーションや公の交流の場において、自分がどう思われているかとか、人前で失敗や恥をかくことを過度に恐れる心理状態を指します。

この理由について研究者は、社会不安レベルが高い人は現実空間での充実した交流が不足していることを挙げています。
そうした若者にとっては、有名人が心の避難所や友人のような役割を果たし、孤独感や他者交流の欠乏感を補ってくれる可能性があります。
また有名人とのパラソーシャルな関係は、直接交流する友人などと違い、相手から不親切にされたり、冷たくあしらわれたり、拒絶される心配もありません。
この理由から、社会不安が高いと過度に有名人を崇拝してしまう可能性が高まると考えられます。
加えて、スマホ依存症のレベルが、社会不安と有名人崇拝との間の仲介的役割を果たすことも示されました。
具体的には、社会不安が高いほど、インターネットの使用頻度が増加し、その結果として有名人崇拝に繋がりやすくなっていたようです。