●この記事のポイント ・東急不動産などによる渋谷駅周辺の大規模再開発が最終章へ ・渋谷スクランブルスクエア開発、渋谷駅改良、ハチ公広場・東口広場の整備などを同時並行で進める ・歩行者デッキや自由通路の整備により東西を結ぶ多層な歩行者ネットワークが完成し、渋谷駅の混雑が緩和

 東急不動産などが渋谷駅を中心とした半径2.5km圏内を「広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)」と定めて進めている大規模再開発が、ついに完成を迎えつつある。「渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)」が今月に着工し、同施設を含む「渋谷駅街区計画」が段階的に完成する2030~34年度までを東急不動産は「まちびらき最終章」と呼んでいる。再開発全体の総仕上げとなる渋谷駅街区計画は、渋谷スクランブルスクエア開発、渋谷駅改良、ハチ公広場・東口広場の整備などを同時並行で進める大規模なもの。全てが完成すると、各鉄道駅間の乗換えや街へのアクセスが飛躍的に改善するほか、歩行者デッキや自由通路の整備により東西を結ぶ多層な歩行者ネットワークが完成し、渋谷駅の課題であった混雑が緩和されるというが、再開発計画として非常に優れていると評価する声も多い。同計画の注目ポイントなどについて専門家に解説してもらう。

●目次

## 渋谷駅街区計画の内容

 渋谷の再開発が大きく動き出したのは、渋谷駅周辺139haのエリアが「都市再生緊急整備地域」に指定された2005年のこと。渋谷を地盤とする東急不動産は、「渋谷ヒカリエ」(2012年)の開業を皮切りに、「渋谷ストリーム」(2018年)、「渋谷スクランブルスクエア(東棟)」(19年)、「渋谷ソラスタ」「渋谷フクラス」(同)といった大規模複合施設を次々と開業。27年度には東急百貨店本店の跡地にリテール、ホテル、レジデンス(住宅)などからなる施設が竣工予定となっている。

 そして今回本格的に動き出した渋谷駅街区計画は、まず2030年度に銀座線渋谷駅の直上に位置する「4階東口スカイウェイ(仮称)」や、渋谷スクランブルスクエア西棟の西側に整備される「西口3階上空施設(仮称)」の一部が概成し、渋谷駅を中心とした東西南北につながる、2~4階レベルでの高さとなるデッキ階の歩行者ネットワークが誕生。渋谷スクランブルスクエア西棟の前面に約3000平方メートルの歩行者デッキ「西口3階上空施設(仮称)」が整備され、JR渋谷駅および銀座線渋谷駅の3階改札と渋谷中央街方面、桜丘方面がつながり、渋谷スクランブルスクエア西棟にも接続する。地上ではJRハチ公改札前に最大幅員22メートル、同じくJR南改札前に最大幅員23メートルの東西を結ぶ自由通路が整備され、東側の宮益坂方面、西側の道玄坂方面へのアクセス性が大きく向上。渋谷駅の課題であった混雑が緩和される。

 31年度には渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)が完成し、商業フロアは東棟と併せて1フロアあたりの売場面積が最大約6000平方メートルとなる首都圏最大級の商業施設となる。

 そして33年度には渋谷スクランブルスクエア中央棟4階に最先端技術を活用したコンテンツを体感できる施設「4階パビリオン(仮称)」および中央棟4階とハチ公広場をつなぐ歩行者ネットワーク向上のための縦軸移動空間「アーバン・コア」が完成。34年度までには「ハチ公広場」「東口地上広場」「中央棟4階広場(JR線路上空)(仮称)」「西口3階上空施設(仮称)」「中央棟10階広場(仮称)」の計約2万平方メートルの5つの広場空間が誕生し、非常時の一時避難場所としての機能も持つ。東急は「にぎやかな渋谷のまちに居ながら、“憩い・潤い・リラックス”も感じていただけるような、みなさまに愛される広場」が生まれるとしている。