高所からの落下でもっとも命運を分けるのが、地面の状態です。
建物から落下した場合でも、下が茂みや土の地面だった場合と、コンクリートやアスファルトだった場合では、落ちた人の生還率は大幅に変化します。
先ほどの事故の事例では、2019年、約1524メートルの高さから落下して助かった30代の女性の場合、その生還の要因となったのは落下場所が森林地帯だったため、木の枝がクッションとなったためだったとされています。
また、地面に衝突する際の角度も重要になります。
傾斜の大きい斜面に衝突した場合は、滑り降りることで落下のエネルギーが分散され地面激突の衝撃は緩和されるため、平坦な地面に衝突するよりも助かる可能性が高くなります。
飛行機事故で約1万メートルから落下して生還したベスナさんは、落下地点が雪に覆われた森林地帯だったことが助かった理由の一つだと考えられています。これも枝葉や雪がクッションになったことや、雪などに滑ることで落下のエネルギーが分散されたことが幸いしたのでしょう。
そして、衝突する際の体勢も運命を左右します。
最悪なのはもちろん頭から衝突することです。足や体の側面から衝突することが助かる確率を上げてくれるようです。
イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンのショーン・ヒューズ教授は、「横向きに体の側面から地面に衝突することが生き延びる最善の方法かもしれない」と語っています。
年齢でも生存率が変わっていた
年齢も高所からの落下の際の生存率に関わるといいます。
同じ高さからの落下事故でも、15歳未満と65歳以上とを比較すると、高齢者の死亡率は約5倍も高いのです。
「子供は回復力も高く、また、身体、特に骨は、より大きなストレスに耐えられるように設計されている」とデメトリアデス博士は述べています。
また、子供が助かりやすいという点は、終端速度にも関わってきます。
小さな子供は体重に対する表面積の比率が大きいため、空気抵抗が大きくなり、落下速度を遅くする可能性があるのです。
