6日早朝5時前(ウィーン時間)にいつものように目が覚めた。立ち上がってタブレットのスイッチを入れた。時事通信のオンラインを見ると、「テスラ、時価総額22兆円吹き飛ぶ」という見出しが目に入った。イーロン・マスク氏とトランプ米大統領の決裂がもたらしたもので、大手テスラの株価が急落したというのだ。このコラム欄で「トランプ氏の『男の友情』の賞味期限」という見出しのコラムを書いたが、マスク氏とトランプ氏という奇人同士の付き合いには必ず終末が来るだろうと予想していたが、早くも現実となったわけだ。

マスク氏とトランプ大統領 トランプ大統領Xより

溜息を洩らしながら、次は読売新聞オンラインを開いた。目に入った記事は「2011年3月の東京電力福島第一原発事故で東電に巨額の損害を与えたとして、同社株主42人が旧経営陣ら55人を相手取り、約23兆円を東電に支払うよう求めた株主代表訴訟の控訴審で、東京高裁は6日、勝俣恒久・元会長(故人)ら4人に計13兆円超の支払いを命じた1審・東京地裁判決を取り消し、株主側の請求を棄却する判決を言い渡した」という。株主側の逆転敗訴となった内容だ。

その記事の横に42人の株主が55人の旧経営陣を訴えて東京高裁に入る写真が掲載されていた。「あれ・・」という声が出てきた。原告側は「22兆円を返せ」と書かれた垂れ幕を持って行進している。当方は「『22兆円』という数字をどこかで見たばかりだ。そうだ、マスク氏の会社テスラの株価が急落して「22兆円」吹き飛んだという記事を読んだばかりだった」と思い出した。

「22兆円」という額は通常頻繁に登場する数字ではない。テスラの場合、「22兆円」は日本円で換算して飛び出した数字だ。一方、福島第一原発の場合、記事の中では原告は23兆円を要求していると書かれていたが、抗議デモの垂れ幕には「22兆円」となっている。奇妙にも両者に「22兆円」が出てくるのだ。偶然に過ぎないといえば、そうかもしれない。ドルと円の換算レートが違っていたら、「21兆円」だったかもしれない。また福島第一原発の原告の垂れ幕が「23兆円」だったかもしれないが、実際は両者とも「22兆円」となっていたのだ。