さて、法案を酷評したことで、先週まで民主党から目の敵にされていたイーロン・マスクは、民主党から「奇妙な尊敬を受け」、上下両院のトップ、チャックシューマーとハキーム・ジェフリーズが「大きな美しい法案は中流階級に対する大きな美しい裏切り」であり、「イーロン・マスクに同意する」とすら声明している(5日の『FoxNews』)。

この『Fox』の番組のインタビューで共和党のジョン・スーン上院院内総務は、法案の批判者が17年のトランプ減税と雇用増加による経済成長、そしてそれによる歳入増加を過小評価したとし、こう述べた。

米国民と中小企業の税金を減らすと、より多くの投資をしようというインセンティブが生まれる。より多くの人々に投資すれば、より高給の仕事が生まれ、人々はお金を稼ぎ、実現していく。彼らはより多くの税金を払う。つまり税収が上がるということ。

この法案には、政策のすべてが実施されたときに何が起こるかを正確に反映していない多くの分析が行われている。法案の支出削減は史上最大で、これについては疑いの余地はない。これによって莫大な節約が実現される予定であり、私たちは上院でそれを強化したいと考えている。

が、下院が1票差だった以上に、上院での通過には難関があるようだ。造反が予想される一部の共和党議員が問題視しているのは、「メディケイド」(約8000万人の低所得者の医療に関する連邦と州の共同プログラム)の支出削減に関連する項目である。

支出削減項目には、①「制度を悪用している140万人の不法移民への給付停止」、②「バイデン政権が義務付けた、性転換手術をメディケイドでカバーする規定の廃止」、③「死亡者のプログラムからの除外」、④「遡及適用を加入前の3か月から1か月に短縮」、⑤「州のメディケイドプログラムにおける連邦政府の費用負担増の停止」がある。

共和党上院の有力議員であるロン・ジョンソン、ランド・ポール、ジョシュ・ホーリーらは、①~③を容認なのは当然として、④~⑤は支出を減らすべきでないとしつつ、ロン・ジョンソンなどは全体として歳出が過剰であると述べている。