皇位継承をめぐる議論で野田佳彦元首相が迷走しているが、彼の議論は結局のところ、皇室制度の廃絶の危険性を拡大するモノばかりで、本人は意識していないが、それを意図する勢力に踊らされているとしか思えない。

野田氏は、皇位継承に関する有識者会議が、①女性皇族が結婚後も単独で皇族として残る、②旧宮家の男子を皇族が養子としてとるという案を出し、各党もだいたい合意しているのに、野田佳彦元首相がひとりで横になって寝て妨害している。

つまり、①については、女性皇族の夫も子も皇族にしろということだ。つまり、小室圭さんのような人物と内親王が結婚したいと言ったら小室圭さんを殿下としろということだ。

②については、いったん皇室から離れた家系の人が皇族になるのは憲法違反の疑いがあるというのだ。

野田氏がはたして秋篠宮皇嗣殿下、さらに悠仁さままでの継承まで否定したいのか、悠仁さまの後が続かなかったら愛子さまや佳子さまの子孫にといいたいのかは、明確でない。

そして、野田氏が「11宮家の子孫を養子に迎える案に対し、一定の期間を区切ることで容認する」という妥協案を出していると共同通信が報道をしたのに対して、「女性皇族が婚姻後も皇族に残ることの結論が出ないまま、さまざまな論点のある養子縁組案について私の方から具体的な提案をするということはありえない」と否定した。真相は分からないが、よく似た、妥協案を野田氏周辺が模索しているということだろう。

女性宮家を創設したとしても、旧皇族からのなんらかの形の復帰の道を残さないと、皇統断絶の可能性が相当な確率で生じる。

旧宮家からの養子案を排除する女系論者の主張は、いったん民間人になったらその子孫が皇族になるのは憲法上の疑義もあるとする。これは、将来の皇位継承を上皇陛下の子孫(しかも、眞子さまのように皇室から出た人の子孫を除く)に限定するということである。つまり、悠仁さま、佳子さま、愛子さまの子孫がいなくなったら皇室は廃止と言うことになる。