こうした天然レジリンの持つ機能性を参考に、研究チームは人工的に合成された「レジリン模倣ポリペプチド(RMP)」を設計し、抗菌コーティング剤としての応用が試みました。

細菌を100%跳ね返すコーティングの開発に成功

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ノミの跳躍を生むタンパク質を模倣。細菌の付着を防ぐコーティングを開発 / Credit:Canva, ナゾロジー編集

新しく開発された「レジリン模倣ポリペプチド(RMP)」は、天然のレジリンと同じく、優れた弾力性と生体適合性を持っています。

しかも人工的に作られているため、特定の目的に合わせて調整することも可能です。

そこで研究チームは、このRMPを利用していくつかの種類の抗菌コーティングを開発しました。

そして、これらのコーティングの性能を試しました。

院内における細菌感染の一般的な原因である大腸菌に24時間曝したのです。

その結果、あるコーティングでは安全に細菌を100%撃退できると分かりました。

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4,000 倍に拡大された抗菌表面 / Credit:RMIT University

コーティング剤は表面への細菌の付着を防ぎ、人体への毒性も示さなかったのです。

このコーティング剤はインプラント、創傷被覆材、カテーテルなどへの応用が期待されています。

とはいえ研究チームによると、他の有害な細菌に対してどんな効果を発揮するかを確認する必要もあり、今後更なるテストが必要とのことです。

小さなノミの脚に秘められたバネの力が、ミクロの世界で命を守る防御壁へと進化する——。

そんな未来に期待したいものです。

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参考文献

100% of bacteria bounce off surfaces coated with “flea-jumping protein”
https://newatlas.com/medical-tech/resilin-mimetic-surface-coating-antibacterial/