年金流用法案は、参議院で13日に採決することを前提に審議が始まったが、相変わらず立民党がでたらめな話を垂れ流している。泉健太氏のnoteは間違いだらけで総攻撃を浴びたが、訂正後も相変わらずナンセンスである。

特に問題なのは、次の部分だ。

就職氷河期世代とそれより若い世代は、非正規雇用者の割合が従来より高く、現在、年齢が40歳の場合、88.3%の人が国民年金と厚生年金の両方に加入経験を持っています。厚生年金に一度も入っていない人も5.6%存在します。

本当の目的は「底上げ」ではない

これが長妻氏の「国民年金5%」の根拠らしいが、これは「厚生年金に一度も入っていない」人数で、国民年金に入っている人数ではない。国民年金の被保険者は基礎年金の30%であり、その給付が3割減るという理由で、残りの70%の厚生年金受給者から流用するのが今度の法案である。

ChatGPT

実はこの底上げは、当初の厚労省案には入っていなかった。問題は基礎年金の目減りで厚生年金の所得代替率50%を切ることなので、年金局は基礎年金の納付期間を64歳まで延長する加入45年化を提案し、年金部会の委員の多くも賛成だった(図1)。

図1 加入45年化のイメージ(読売新聞)

ところがこれに対して野党が強く反対し、当初は賛成していた立民党も反対に回ったため、昨年7月に年金局は45年化を断念し、厚生年金積立金の流用という「禁じ手」に手を出したのだ。そのとき出てきたのが「氷河期世代がカワイソウ」というお涙頂戴である。

氷河期世代の年金は高度成長期より多い

しかし氷河期世代は、本当に「底上げ」が必要なほど貧しいのか。確かに1990年代以降に入社した世代には非正社員が多いが、その多くは社会保険料を払っている。