水飲み場に列をつくって、順番に水を飲む。
そんな秀才オウムたちがこのほど、オーストラリア南東部のシドニーで確認されました。
独マックス・プランク動物行動研究所(MPIof Animal Behavior)を中心とする研究チームは、オウム科の一種である野生の「キバタン(学名:Cacatua galerita)」が、人間用の水飲み場の蛇口をひねって、自ら水を飲む行動を習得していることを発見しました。
さらにこのスキルは、一部の個体だけではなく、地域全体に“文化”として広がっていることが示されています。
研究の詳細は2025年6月4日付で科学雑誌『Biology Letters』に掲載されています。
目次
- 水飲み場を攻略したオウムたち
- 「水飲み技術」が文化として広がる
水飲み場を攻略したオウムたち
この驚きの行動は、偶然ではありませんでした。
キバタンたちは、公園などに設置されたツイストハンドル式の水飲み場を器用に操作していたのです。
水飲み場は、当然ながら、人間が使うことのみを想定して設計されており、ハンドルをねじっている間しか水が出ません。
つまり、キバタンが水を飲むには、足でハンドルをつかんでひねり、さらに体重をかけてハンドルを保持し、水を一定時間出し続けるという複雑な連携動作が必要になるのです。
こちらが実際の映像。
※ 視聴の際は音量にご注意ください。
研究チームは、2018年に野生のキバタンがこの行動を行っている現場を発見し、そこから本格的な調査を開始。
周囲の水飲み場10カ所を調べたところ、そのうち5カ所でキバタンによる使用の痕跡(くちばしの噛み跡など)が確認されました。
さらに動体検知カメラを設置して、44日間にわたる映像記録を分析した結果、延べ525回の「水飲みチャレンジ」が記録され、そのうち41%が成功していたことがわかりました。
特筆すべきは、研究者が目印をつけた個体(24羽中17羽)が全体の70%もの成功率を示していた点です。