・さらに、感情的関与を示すLPP(遅延正電位)が大きくなり、「この人、感じがいい」と思いやすくなる心理的傾向が見られた

つまり、私たちは「顔そのもの」を見ているようでいて、実は「相対的な位置」に強く影響されているのです。

単独で見ればふつうの顔でも、隣に“不利な比較対象”があるとき、その顔は輝きを増していました。

まさに「隣の人の顔が地味だと、自分が良く見える」という、少々残酷な心理メカニズムが働いていたのです。

隣の人が美しいと、自分の魅力度が下がる?

これと反対に、隣の人の顔の魅力度が高いと、中程度の魅力度の顔はポジティブな性格特性との結びつきが弱くなる傾向がありました。

「魅力的な顔」と一緒にいた場合、先ほど見られた好意的効果は逆に打ち消されてしまうのです。

魅力の高い人が近くにいると、比較によって自分の印象を“やや地味”に見せてしまうという、まさに“美の陰”に隠れる効果が働いたと考えられます。

実験では、背景が魅力的な顔だった場合、性格判断の肯定率が下がり、反応時間もわずかに長くなる傾向がありました。

これは脳が「この人にその性格が当てはまるかどうか」を判断するのに、より慎重になるからだと考えられます。

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Credit: canva

ここから見えてくるのは、人間の見た目の判断がいかに「文脈依存的」であるかという点です。

私たちは「この人はこういう性格だ」と確信しているようでいて、実は周囲の情報、しかも顔の“並び順”のようなささいな要素にすら左右されているのです。

つまり、自分の見られ方を変えたければ、「どう見せるか」だけでなく、「誰と見せるか」も重要になると言えるでしょう。

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参考文献

Ugly bystanders boost beauty: Study finds background faces shape personality judgments
https://www.psypost.org/ugly-bystanders-boost-beauty-study-finds-background-faces-shape-personality-judgments/