「あなたの顔の印象は、隣に誰がいるかで大きく変わる」
新たに発表された心理学研究で、自分の顔を魅力的に見せる残酷な心理テクニックが明らかにされました。
中国・広州大学の研究によると、たとえ魅力度が中程度の顔でも、魅力度の低い顔が隣にあることで、他人からの印象が良くなることが実証されたのです。
しかもこの効果は単なる主観的なものではなく、脳波レベルで客観的に確認されています。
実際の実験内容を見てみましょう。
研究の詳細は2025年2月3日付で学術誌『Current Psychology』に掲載されています。
目次
- 顔の魅力は絶対評価ではなく「相対評価」だった?
- 隣の人が美しいと、自分の魅力度が下がる?
顔の魅力は絶対評価ではなく「相対評価」だった?
今回の研究では、47人の大学生(全員右利き、視力正常)が被験者として参加しました。
彼らには、合計160枚の女性の顔写真のペア(髪型やアクセサリーを取り除いた加工済み画像)を見せ、次に「親切」「冷淡」といった性格を表す単語を提示します。
そして「この単語はどちらの顔に当てはまるか?」を判断させるという手法で、脳の反応を測定しました。
鍵となるのは、ターゲットとなる片方の顔が「中程度の魅力」に固定されていたことです。
その隣に置かれる背景の顔だけを「とても魅力的」または「魅力が乏しい」という条件で変化させました。

データ分析の結果、以下のような傾向が明らかになりました。
・背景の顔が“魅力に乏しい”とき、ターゲットの顔は「親切そう」「友好的」といったポジティブな性格特性と結びつけられる確率が有意に高くなった
・そのとき脳内では、“意味的な違和感”を示すN400と呼ばれる脳波成分の振幅が小さくなり、「その性格は妥当だ」と無意識に感じている可能性が高まっていた(=顔を見て、迷いなくすぐにポジティブな性格と結び付けられること)