国、スタートアップや中小企業の参入も推進

 防衛産業のなかでも特に成長性が高まっている領域はあるのか。

「ウクライナ戦争でも多用されたドローンは、戦闘機の代わりとして非常に有効なのではないかといわれています。戦闘機に比べて低コストで大量に調達できるという点がメリットだと評価されるようになり、イスラエル・イラン紛争でも多く使われました。宇宙・サイバー分野も有望でして、国の25年度当初予算でも宇宙関連として約5400億円が計上されています。衛星を使って世界の状況把握能力を高めていこう動きがあります。AIも非常に重要視されており、ドローンで撮影した画像の解析やサイバー防衛でもAIの活用がカギとなってきます」(窪田氏)

 では、国内の防衛産業は中長期的にみて成長していくと考えられるのか。

「国はスタートアップや中小企業の参入も進めていこうという動きになっていまして、自衛隊とベンチャー企業のニーズをマッチングさせるために展示会を開催するといった取り組みも推進し、そういう方向性に政策が動いていることは確かです。やはり今後、国が防衛予算をどこまで拡張するのかがポイントになってきます。国はNATOの要請を受けて2027年度に防衛費を対GDP比で2%まで増やすことを決定しており、防衛省とそれ以外の省庁あわせて年間11兆円程度に増える見込みです。一方で、今後も無尽蔵で防衛費を増やしていけるかといえば、財政上の制約もあり、難しいのが実情です。以前であれば国債発行で賄うという方法がとられましたが、金利の上昇により難しくなりました。増税も国民から理解を得られるのかという問題があります」(窪田氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=窪田朋一郎/松井証券シニアマーケットアナリスト)