人との出会いは貴重だ。出会いを逃すと様々な理由からその後は会うことができなくなる。ましてや、ミスタープロ野球の長嶋さんとの会見などは一介の無名なジャーナリストにとってはハードルが高すぎたのだろう。
ジャーナリストにとってインタビューは重要だ。15分から長くても30分の短い時間、圧縮した時間で会見相手に集中質問する。インタビューは真剣勝負だ。幸い、冷戦時代と「その後」、多くの大統領や首相、外相らとインタビューできた。2、3はこのコラム欄でも紹介済みだ。タイムリーで成功した会見もあったが、内容のないインタビューや、相手側のプロパガンダを助けるだけに終始したこともあった。
ちなみに、ウィーンに駐在して以来、ナチス問題を追って、クルト・ワルトハイム(大統領、国連事務総長を歴任)やナチス・ハンターのサイモン・ヴィーゼンタールら時代の証人と会見できたが、ナチスの強制収容所を体験した精神科医ヴィクトール・フランクルとは時間があったにも拘らず会見できなかった。
結局、日本では長嶋さんと、欧州ではフランクルとインタビューしたかったが出来ずに終わった。両者とも今は故人だ。不思議なことだが、当方が年を取ったこともあってか、評判の良かった会見記事より、インタビューできなかった政治家や著名人の名前を忘れることができないのだ。長嶋さんの冥福を祈る。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年6月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。