Azure一強という状況は生まれにくい?

 生成AI関連の技術・サービスの差が市場シェアの変化に影響を及ぼしている可能性はあるのか。

「AzureだとChatGPTやCopilot、マイクロソフト製品と容易に連携させて業務効率化を図るといったことも、やりやすいですし、新規でクラウドを導入しようとなった際に『これから積極的にAIを活用していきたいから、やっぱりAzureを選んだほうがいいよね』と期待感が先行するかたちでAzureが選ばれやすくなるという面はあるかもしれません」(I氏)

 では、近いうちにAzureとAWSのシェアが逆転する可能性はあるのか。

「Azureを使えるエンジニアも増えてきているので、じわじわとAzureの利用は拡大していくとは思いますが、AWSのエンジニアが多い企業ではAWSが選ばれやすいでしょうし、Azureがものすごい機能をリリースするなど、よほどインパクトが大きい出来事がない限りは、すぐに逆転するということは考えにくいです。Azureに明確な強みというのが出てこなければ、なかなかAzure一強という状況は生まれにくいのかなと感じます。

 エンジニア目線でいうと、やはりAWSは非常に操作性に優れていて使いやすく、UI的な部分でのバグが少ないというのは強みです。エンジニア目線でいうと、やはりAWSは非常に操作性に優れていて使いやすく、UI的な部分でのバグが少ないというのは強みなので、クラウドのエンジニアを目指すならとりあえずAWSの道に行くという人が今も大多数です。AWSが優れているのは操作性だけでなく、ナレッジが豊富にあるためクラウドエンジニアを目指す人が成長しやすいというメリットもあります。

 大企業ですと、社内システムで業務効率化するために社外秘のデータをインターネット通信しない環境で検索して、情報をすぐに引っ張ってこれるようにしたりと、AIを使って業務効率化を図るということに着手しているところも増えていますが、多くの中小企業はまだそこまで進んでいないと思います。これから多くの企業でAIの活用が本格化してくれば、クラウド市場も変わってくるかもしれません」(I氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)